女王と野獣
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服達も、暴れまくるプチモビに辟易し、これにはたまらんとお手上げ状態だ。
「な、なんだコイツ!!本当にただの作業用か!?こんな動きするプチモビは見たことがないぞ!」
「ただのチンピラじゃない…!まともに相手にするな!操縦者を殺せ!」
「子供を生かして捕まえるんだ!情報は子供に吐かせりゃいい!」
それを皮切りに、次々にヤザンそのもの目掛けて発砲を繰り返すが、プチモビは関節を軋ませながらも小さなバーニアで複雑なダンスを踊るかのような軌道を描いて、銃弾はパイロットにまるで当たらない。
「とろいんだよ!その程度の狙いじゃ―――んん!?…く、くそ!こいつは…ガス欠か!!」
燃料切れだ。
警告灯が忙しく点滅し、メーターはすっからかんとなっていた。
ウッソらを残してきた方で喧騒が聞こえたヤザンは、昼飯時で人気のなかった近場の工事現場に忍び込んだはいいものの、燃料メーターの確認までする余裕は無く、兎に角急いで物色を開始した。
小腹が減っていたので、現場作業員が戻ってきて食べるつもりであったのだろうチキンを掻っ払いつつ、操縦桿のロックがかけられていないプチモビを探し、急いで操縦桿近くの装甲板を引っ剥がし、配線直結でエンジンを動かして……そしてウッソ達の所へ舞い戻ったのだ。
そういうわけで、止まってしまったプチモビの操縦席に銃弾がしこたま撃ち込まれてしまったが、ヤザンはもちろん直ぐ様飛び退いて、黒服目掛けて逆に襲いかかる程度には獰猛な狂犬だった。
「ハハハハッ!久しぶりにこういうのも悪くないな!!」
本当にまだ片足が折れていてくっついておらず、背中やら腕やらにも結構な火傷がまだあって…治療中の怪我人なのか?とウッソですら疑問に思えてくる動きだ。喧嘩に慣れきっている。
良いタイミングのギブスキックで、黒服を複数人巻き込んで転倒させて、その隙を見逃さずカミオンの少年少女は、銃を使わせまいと黒服達にそれぞれが殴ったり石を投げたり蹴ったりだ。
すっかり乱闘騒ぎになってしまい、それでも子供達の大人顔負けの喧嘩殺法と、ヤザンの手練れじみたストリートファイト戦法は、プチモビ戦で疲弊した黒服を圧倒しそうではあった。
だが…。
「ここだ!あのガキ共だな!?全員動くな!拘束する!!」
「まずい!!警備隊の増援だ!!」
トマーシュが叫んだ。
黒服達が増援を呼んでいた、或いは銃撃音を聞きつけたか。
駆けつけた首都警備隊が、警備エレカに乗りながら小銃を構えて駆け寄ってくる。
それも一台ではない。ニ台、三台と続けてだ。
「動くな!撃つぞ!!」
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