女王と野獣
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だね、シャクティ…。君がここに残りたいと言うなら、僕は…)
安アパートを見る目に、思わず力が入る。
スージィが、ウッソの視線を遮るようにして身をねじ込んで、そしてウッソの顔を両手で包んだ。
「ちょっとちょっとウッソ…ダメだよ。それじゃあバレちゃうかもだよ…!もっと楽ぅーな顔して」
「あ、う、うん…そうだね。ごめん」
ウッソの頬をむにむにと摘んで、スージィがにこりと笑いかけると、ウッソもつられて笑顔になる。こういう事は、この爛漫な少女にしかできない芸当だった。
隊長から待てと言われたのだ。ならば待つのが、兵士となった己の使命だと、ウッソの歳不相応な信念が宿る瞳は強く光っていた。
さてこれから事態をどう動かすかと、ウッソも子供達も、ヤザンの動きに細心の注意を払おうとしたその時だった。
事態というのはこちらの都合お構いなく、どんどんと二転三転するものらしい。
玄関の扉を開け放って、目当ての少女が飛び出てきたのだ。
「っ!!シャ、シャクティ!!!?」
「…!ウッソ!ウッソ!!」
少女はスカートを翻して、一目散にパートナーたる少年の胸へ飛び込んだ。
驚いたのは、ウッソやオデロ達だけではない。
表を警護していた黒服達もだ。
「ひ、姫様!!?なぜその子供達と!!お前ら、何者だ!!」
そこら中から、身辺警護の黒服達が湧くように駆け寄ってきて、それだけの警備が敷かれていた事にウォレンなどは面食らっていた。
「う、うわわ!いっぱい出てきた!」
「黒いのが隙間からうじゃうじゃと!ゴキブリかってーの!!」
あっという間に囲まれて、そしてシャクティを皆で守るように囲む。その子供達を、さらに黒服達が囲んで、そこに二重の人の輪が出来上がる。
「お前達、何者だ!姫様と面識のある子供達が、こうも都合よくここで集まっているなんて不自然が過ぎるぞ!」
黒服の一人が銃を構えながら言うと、トマーシュが些かも怯むことなく口答えをしてみせた。
「さっき入国許可証を見せましたよ!そちらの人に!」
話を振られた黒服は、やや慌てたように仲間の黒服達を見て何度もうなずく。
「あ、あぁ確かに確認した。普通の入国許可証だったが」
「…もう一度見せなさい!いいか、おかしなマネはするなよ…!それと、そちらの少女をこちらに渡してもらおう。そうすれば悪いようにはしない。…本当にただの偶然というせんも、まぁ無いではないからな」
わかりましたよ、と不貞腐れながらオデロとトマーシ
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