暁 〜小説投稿サイト〜
ヤザン・リガミリティア
女王と野獣
[3/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
しれん。お前の言葉を借りれば、シャクティはウッソより、そういう感覚に優れている=c…そうだな?」

 

「はい」

 

フッ、とヤザンは薄く笑った。

 

「意外と近い。運が向いているようだなァ…!」

 

時間をそうは置かずの、二段構えの空襲がもうじきある。

度々アメリアで騒乱を起こすことで、ヤザン達の動きをアシストするという狙いだが、それを繰り返せば当然だがザンスカールも対応に本腰を入れるし、首都をカトンボに飛び回られるのは帝国の威信に関わる。怒りも凄まじい事になるだろう。

危険度が大きいからこそ、ドライブ搭載機であるシャッコーを、手足のように動かし始めているカテジナが自陣営にいるからこそ出来た強襲作戦だった。

だが、それもニ度目までが限界というのは、事前のブリーフィングで伯爵と決めた事だ。

ズガン艦隊が、マケドニア連合艦隊の追撃を取りやめて戻ってくる時間や、本国に帰還済みと思われるモドラッド艦隊の再出撃も考慮すれば、二度目の空襲がチャンスと同時にタイムリミットでもある。

 

「様子を見たい…早速行くぞ。…お前ら、適当に雑談しながら付いてこい。その方が怪しまれんからな」

 

言うと、一行はぞろぞろと、そしてだらだらと歩き出して、そしてリクエスト通りに振る舞って見せるのは流石だった。

 

「あ〜〜お腹すいたァ!ねぇー、お兄ちゃん〜、今日の夕飯はさ、ビーフシチューにしようよ」

 

「ばっかだな、お前。オヤジがそんなもん食わせてくんねーよ。どうせ今日も固いパンだぜ。なァ、カレル」

 

「だよね〜…父さんったら、稼いだって全部酒に使っちゃうんだから」

 

「だから新しい母さんにも逃げれちゃうのよ。ほんとダメ親父っ!」

 

トマーシュの弟のカレルや、マルチナまでが素晴らしい演技で、父への嫌悪感という奴を丸出しで言って見せて、ヤザンを感心させたが同時に「勘弁してくれ」とも思う。

 

(こいつら…また調子に乗りやがって)

 

リクエスト通りだが、大声の雑談を通りすがりに聞く通行人達からの、自分ヤザンを見る目が少々厳しい。

 

「うるせーぞ!ガキども!あんまギャンギャン喚くと、飯抜きだからなァ!」

 

「わぁ〜〜っ!とーちゃんが怒った!ごめんさなぃ〜!」

 

しかしヤザンも悪ノリしつつ、スージィが大袈裟に喚いてエリシャの陰に隠れる。そうやって細い裏通りを練り歩き、そして子供達を睨み、怒鳴りつけつつ素早く周囲の様子を見て取った。

 

(黒服の男が二人…女が一人…。向かいの二階、窓際にも黒服)

 

この寂れた裏通りには場違いなスーツ姿の者が複数
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ