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ヤザン・リガミリティア
女王と野獣
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もしれない。

 

「あぁ。シャッコーなら、ドライブの加速で、ちまちました強襲なら安全に出来る」

 

「シャッコー…じゃあさっきのはカテジナさんが?」

 

「そういうことだ」

 

めきめきとパイロットの才能を伸ばすカテジナは、今ではシュラク隊の面々をも超え始めているから、今回の大役に抜擢されたのもカテジナだった。

ミノフスキードライブ搭載機の超高速は、正直に言えばシュラク隊メンバーでは持て余すだろう。先の空襲の迅速さは、間違いなく並のエースを超えた光るものを予感させる。

長年、シュラク隊らの教官を務めたヤザンとしては、ぽっと出の少女に生徒が軒並み抜かされて少々悔しくもあるが、それだけカテジナの才能が突出している証拠だったし、その才能を見出したのもある意味でヤザンだ。

なかなか複雑な思いがそこにはあったが、「さて…」と切り替えて、ヤザンは皆を路地裏に招き入れてから、これからを伝えなければならなかった。

市民に紛れ込む事は成功したが、ここは敵地だ。油断などできない。

 

「伯爵の予想では、シャクティがいる場所は二通り考えられるそうだ…。宮殿もあり得るが、公的には女王は独り身で当然子供もいない。だからいきなり宮殿には招かず、まずはどこかで匿って、それから顔合わせだのをしてから…機を見て姫という事を周知していく可能性だ。…まぁ、こちらが妥当な線だな。ウッソ、お前の勘ではどうだ」

 

話を振られ、ウッソの顔が少し曇る。

というのも、このニュータイプの感覚という奴を利用されて、ファラ・グリフォンに一杯食わされたとウッソは思っているからだ。

実際には、伯爵やヤザン達の、大人達の駆け引き読み合いの末の事だったが、ウッソは自分がもっと優れたニュータイプだったら、まんまと誘い込まれる事など無かったと思ってしまう。

 

(たとえば…僕より優れているシャクティなら…きっと分かることが出来たのではなかろうか)

 

そう思うから、ヤザンにニュータイプ的な感覚を告げるのは躊躇われた。

言い淀んだウッソを見て、そんな感情を、ニュータイプとは真逆の感性でヤザンは見抜く。

 

「ビビるな。術スキルってのは何度も失敗して磨けばいいと、前も言わなかったか?こっちもあ・た・り・は付けているんだ。お前のスペシャルな勘に全部を頼ってるわけじゃない。気張らず言ってみろ」

 

「……は、はい。…あの、あっちの方角…あの建物の方に、シャクティの気配のような、そういうのを感じます」

 

「ほお…なるほど。宮殿ではなく、あの安アパート街の一角…つまりは後者の可能性か、やはりな。…お前がそう感じれたなら、今頃はシャクティもこっちに気づいているかも
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