害獣侵入
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飽きしていた。
「そ、それだけは勘弁してくださいよ!た、頼んます…!なら、せめて入国許可証だけでも先にくだせぇ!そしたら、事情説明して返済待ってくれるかもしんねぇし!」
「ダメダメ。あんただけ特別扱いするわけにはいかないんだ。審査が通ったら、入国許可証は出してやるから、そしたら軍の直轄工場へ連絡とってやるって」
ウッソもオデロもスージィも参加し、援護する。
涙を流して、「あたし売られちゃうの?」とマルチナ達少女組が喚いて、そんなの嫌だ家族は一緒だと少年組が泣く。
そして、そんな子供達の肩を抱いたヤザンが、「ふがいねぇ父ちゃんでスマン!」とか言いながら涙して、かと思ったらヤザンとオデロが「そんな甲斐性なしだから母ちゃんに逃げられんだろ!ダメ親父!!」と怒鳴り「言ったなバカ息子!」と言い返したヤザンが、本当に殴り合いまで始めたから、入管連中も泡を食った。
「ま、待て待て!落ち着きなさい!こんな場所でみっともないと思わんのか!!子供も見てるじゃないか!」
次から次にザンスカールの衛兵達まで駆けつけて、皆でバジャック一家の暴れん坊二人を羽交い締め、なだめる。
女性兵士は、泣きじゃくる娘達に必死に優しい声をかけていたりと忙しい。周りの入国監査待ちの、無辜の入国者達までが騒ぎ出して、やれ「さっさとしろ!」だの「可哀想じゃない!ちょっとくらい融通してやんなさいよ!」だのと大声でまくし立てる。
場が騒然としてきて、いよいよ収拾がつかなくなりそうになって、現場のお偉いさんが「面倒なことになったなぁ…」と気怠げに漏らした時、事は起こった。
――Beeep!Beeep!
「なんだ!?」
突如鳴り響いた警報に、皆の動きが止まる。
警報に続けて、今度は館内放送が鳴り響く。
『空襲警報…空襲警報…これは訓練ではありません。これは訓練ではありません。市民の皆さんは直ちにシェルターに避難を――』
そういう事らしかった。
「なんだと!?ここはザンスカールの首都だぞ!首都のアメリアが空襲を受けるのか!?」
「市民の皆さんは、今すぐシェルターに!伍長、今すぐ誘導を!」
「皆さん、慌てないで!慌てないでください!」
騒ぎが大きくなる中、ゲゼ・バジャックは凄まじい剣幕で入管のお偉いさんに詰め寄っていく。
「見ろ!あんたがチンタラしてるから!これでもう娘は売り払われちまうよ!あ、あんたの、あんたのせいだァ!これでシェルターにまで押し込められちまったら…もっと期日がおして、きっと娘全員と今生の別れに
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