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ヤザン・リガミリティア
害獣侵入
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た慣れたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も、二、三程度、トラブルとも言えない予定内の警邏との接触はあったが、そのどれをもヤザンと子供達の演技の連携で波風立つことなく潜り抜けていって、とうとうアメリアは目の前にそびえる。

 

「これが…ザンスカールの首都」

 

トマーシュが感慨深気に言った。

 

「当たり前だけど普通のコロニーだな」

 

そう言ったオデロに、後ろの方からエリシャが呆れたように「当たり前でしょ」と突っ込んでいたのは微笑ましい。

 

「気を引き締めろ。港から入るぞ」

 

わざと伸ばした無精髭面を、薄っすら赤いメイクで再度彩ったヤザンが言えば、皆の顔が引き締まって、そしてその直後に自分の役割に相応しいトボケ顔へと変わっていく。

 

「くくく…全員、良い俳優になれそうだな?」

 

ヤザンが愉快そうに笑ったが、ウッソはヤザンの目を見ながら小声で尋ねる。

 

「でも、首都の港でしょ?今までのようにはいかないんじゃないですか?審査も厳重でしょうし」

 

「心配するな。援・護・が来る」

 

「えんご…?」

 

次!と叫ぶ入管の声がして、信号が青に変わると、ヤザンはアイネイアースを静かに滑らして、今までの警邏達をだまくらかした見事な演技が披露される。

子供達も、既に堂に入った演技であり、しかもどこか楽しんでいる様子さえある。

その雰囲気がまた貧乏で苦労していながらも、冴えない中年オヤジを支える明るい子供達…といったファミリー像をうまく描いて、入国審査官達の顔もついつい綻ばせる程には高いクオリティを持っていた。

 

「…積み荷はMSか。一応、簡易検査は受けとるようだが……正式な審査には数日はかかるから、それまで待機してもらいますよ」

 

審査官がそう言った時、ヤザンことゲゼ・バジャックの顔が豹変する。

 

「お、おいおい、待ってくれよ!借金の期限が迫ってんだ!ここで借金取りと会う約束してんだよ…!今日にでもある程度返さないと、うちの子を質にとられちまう!引き取る業者に連絡いれて、引き取ってもらうだけなんだぜ!?なんでそんな何日もかかるんだよ!他のコロニーは半日もかからねぇのによ!」

 

「あァ?あんたの借金なんざこっちは知らないよ。物が物だし、規則なんだから待ってくれなきゃ!うるさく言うと押収しちまうぞ!」

 

入管の顔が、「…またか」というふうに呆れたような、不愉快なものへと変わる。

こういう難癖をつけてくる入国希望者など、それこそ年がら年中、何千何万と見ていてもはや飽き
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