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ヤザン・リガミリティア
害獣侵入
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ってられんって逃げちまってさァ!冷てェ女だぜ!…見てくれだけはいい女で、具合も最高だったんだぜェ?へへへ、写真見るかい?」

 

踏んだり蹴ったりだぜ、と目を血走らせてがなる野卑な男の迫力に、学徒兵のニコライはたじろいだが、見せてもらった写真に写るのは確かに美しい女で、もろに彼のタイプでありニタニタ顔でバジャックの猥談に耳を傾けていた。

背後から、彼らの上官たるノマイズ・ゼータがのそりとやってきて、確認していた書類を少年へ渡すと、シッシッと少年を追い払うと代わりに相槌を打つ。

 

「ゲゼ・バジャックさんね。確認はとれたよ。行って良い。サイド1のシャングリラだなんて、随分遠くからご苦労様でした」

 

戦場漁りというハイエナ行為で得たであろう自軍のMSを見ても、ノマイズは軽蔑するでもなく、時代の寒さというものを思うと寧ろ、このうだつの上がらないであろう無精髭のジャンク屋を気の毒に思う。

 

「へへ、この子ら食わすためにゃ、ちょいとぐらいの出張はわけないぜ。それに、うちのガキ共も、こう見えてなかなか仕事仕込んでるんだぜ?…このMSってよォ、あのゲリラどもの新型なんだろ?今をときめくザンスカール様なら、結構な値段で引き取ってくれるって、回収業者の間でも噂なんだよ。で、実際どうなんだ?アメリアはやっぱすげぇのかい?」

 

片足が悪いのか、片方だけを引きずるようにしているし、日頃から深酒もしているらしい。

鼻っ面に少々赤いものがこびりついた赤ら顔で、ごろつきのように笑ったバジャックに、ノマイズは肩をすくめて愛想笑いを浮かべる。

 

「いやぁ、今はどこも不景気さ。…ザンスカールの首都だって、サイド1より多少マシ程度だと思うがね。状態のいいゾロアットと、ゲリラのMSだけど…押収されちまう可能性だってあるぞ…。まぁあんたらの幸運を祈ってるよ」

 

「押収か…そいつは俺の交渉術の見せ所だな。あんがとよ。あんたらザンスカールさん達にも、グッドラック!ハイル・ザンスカール!へへへ!」

 

「ありがとう。アメリアには連絡は入れておいてやるから。…あとは酒は控えろよ。こんなたくさんの子の面倒見なきゃならんのだろう」

 

「へへへ、酒はやめられませんや」

 

ノマイズとバジャックヤザンのやり取りを、子供達はポカーンと眺める。

その様が、余計に子供達を無邪気に見せていたのかもしれない。

MSの操作系が全く反応せず、また書類データや許可証の類も不審な点は見られなかった事から、検問はあっさりと終わった。

もう少し入念なチェックをすれば、MSがすぐにでも動かせるようになる状態であるとか、ジャンクショップの許可証も古いくせに期限の記載だけが妙に新しいだ
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