害獣侵入
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達は複雑な顔を見せた。
子供ながら戦争慣れしているから、戦争の道具として使う…と非情で冷酷な宣言をされたとも見えるが、ヤザンという男の性分を幾らか理解している子供達だから、これがヤザン流の称賛というエッセンスが強いのは分かった。
年齢関係無しに、『自分の人格が認められた』と思えた。
それに、確かにここにいる子供の誰もが、爆発音や銃声如きで身が竦んで動けなくなるような事はないし、皆が銃座の操作だの、弾込めだの、そういう事を手伝えてしまう。
スージィとて、いつの間にかトラウマだった、ベスパのビームローターの音を克服して、戦場でも友や味方の為に動き回れていた。
戦争は最低の人殺しで、その手伝いは人殺しの手伝いだが、そんな事は分かっていても、これは生存競争なのだ。綺麗事で生きていければ、きっとそれは幸せなのだろうが、ヤザンが言った通り「今はそれどころではない」のだ。
ヤザン自身、まだ火傷やらの傷が癒えておらず、本来なら入院すべきところを、レオニードや伯爵が呆れる程の生命力で今もこうして現場を仕切っている。常に鉄火場であるのが、リガ・ミリティアという組織であり、宇宙戦国時代で生きるという事なのだ。
「…ガキでも、強さと覚悟があるなら、戦場で俺の前に立ち塞がれば敵だし…味方になるなら戦友だ」
子供達には、ヤザンのその言葉が自分達に向けられたものであるよりも、まるで自分に言い聞かせているような色を感じ取る。子供というものは、皆が感受性豊かでまるでニュータイプのように人の想いを感じる時がある。
だからか、ことさら明るくスージィがその言葉に乗っかってはしゃいで見せる。
「わーい、おっちゃんに秘密任務のメンバーに選ばれちゃった!ねぇ〜カルルー、フランダース、戦友だってさ!私達も立派にお仕事できてるねぇ!」
「ちょっと、スージィ静かにしないと…またヤザン隊長に怒られるよ!?あっ、マルチナさん、こっちの席の方が眺めいいですよ?」
「ありがとう、ウォレンくん。姉さんもこっちの席にする?」
「えぇと、う、うん、ありがとマルチナ。…でも、ちょっと…さすがにリラックスし過ぎじゃないかしら?いいのかな…」
操縦席のオデロの隣には、副操縦士としてトマーシュも座していて、ヤザンの隣にはウッソが所在なさげに座っていた。さらに後ろの席には、クランスキー姉妹とスージィ、赤ん坊のカルル、おまけに犬のフランダースという、リガ・ミリティアの子供達が総出であった。
ヤザンとオリファーの試験をある程度くぐり抜けてきたオデロとトマーシュはともかくとして、ヤザンがこういう人選をして秘密任務に旅立っているのは驚きだった。ウッソでさえ予想しなかった。
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