害獣侵入
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た。でもね…あなたを一目見た時から、あなたが娘だって分かったのよ」
母を名乗るマリアが、シャクティを背後から抱きしめた。
その瞬間、言葉だけでも伝わってきていた温もりが、少女の小さな体の隅々にまで行き渡る。
「元いた所に戻りたいというのは、戦場に戻りたいという事よ。お願い…ここにいてシャクティ。あなたを守らせて。今度こそ…」
「…」
「色々な事…話したいわ。あなたの事も、クロノクルの事も。…弟は、今は病院で治療を受けています。一緒にお見舞いに行きましょう。あなたが、ずっと敵地でクロノクルを守ってくれていたんですってね」
振り向き、女の顔を見る。弟を思う優しい顔だった。娘を思う慈愛の顔だった。家族を思う、情け深い顔だった。
「………クロノクルは、無事なんですね」
家族と出会った。
シャクティは心で確かにそう感じていた。
ウッソの気配の元へと今すぐに飛んでいきたいが、それでも今はもう少しだけ、シャクティはこの女性の所にいたいと思えた。
親子は、数年ぶりの対話の時間を得たが、その時間もそう長くは続かなかった。
互いに言葉を紡ぎ始めて十数分後、窓の向こうから聞き覚えのある声が聞こえてきた時、少女は椅子を蹴って脇目も振らず走り出していた。
今度はマリアも、そして警備の黒服も止める間もなかった。それぐらいに突発的で、そしてシャクティは素早かった。もはやそれは本能だった。
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