妖獣の手のひら
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奴らでも抵抗運動レジスタンスには欠かせんし、今回の敗戦で本格的にうちらの傘下にねじ込めるかもしれん」
「わかっているよ隊長。だから悩みもする」
「後は、大きな勝利をここらで一回…ってとこだな。スポンサーはお冠だろう?」
「…ああ」
綺麗にまとまった灰色の頭を、伯爵は気怠げに掻き揃える。
「危険だが、やはり動くしかないか。
…隊長の傷も癒えていないというのに申し訳ないが、やってくれるかね?」
皆、忘れがちだが、こう見えてヤザンは背に重度の火傷を負っていて、片足は折れている。
本来ならMSの操縦などしていい容態ではないが、ヤザンの強い生命力はそんな事実を笑って吹き飛ばす力強さを持っていた。
「人手不足なんだ。泣き言なんざ言ってられん。
…オデロとトマーシュはどれぐらい仕上がっている?」
しれっと少年パイロット候補二人の様子を尋ねるヤザン。
少し前、ヤザンはオデロとトマーシュに「鍛えてやる時間は無いが自主練をしろ」と、端的に言えばそのような事を仄めかしたが、オデロとトマーシュは夜な夜なシミュレーター室に潜り込んで勤しんでいたのは、大人達の知る所だった。
正直に言えば、リガ・ミリティアは少年兵だろうと何だろうと、使えそうなものは何でも使いたいゲリラ組織なのだから、少年二人にはさっさと強くなって貰いたかった。
「オリファーが空いた時間に見てくれていたのは、隊長も知っているんじゃないのか?
お陰でなかなか良い仕上がり具合だよ。
…今も、片腕になったばかりだというのに、君にばかり働かせるのは悪いと…シミュレーター室で二人の教導をしている」
宇宙世紀の現代なのだ。よく効く痛み止めも豊富だし、質の良し悪しはともかくとしてナノマシンだとか義手だとかも事欠かない。
それでも重傷で動き回るのは推奨されないというのは、実に当たり前のことだったが。
「そうか…オリファーがな。…奴も苦労性だ。怪我をした時ぐらいゆっくり休めばいいものを」
「無理だろう。なにせ生粋のヤザン隊副隊長≠セからな」
伯爵に言われて、ヤザンはにやりと笑った。
ラムサスとダンケルに叩き込んでやった魂を、どうやらオリファーはしっかりと継承していた。
「なら、最後の仕上げに俺が見てやるか」
「そんな時間があるのかね?」
「無いなら作るさ。
ザンスカールの首都に空襲をかけようってんだぜ?戦力は一つでも多く整えんとな。
それにカテジナの時も、結局は見てやることになったんだ。
こうまでやる気を見せたなら
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