妖獣の手のひら
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そこまで言ってやれば、ようやくウッソのV2が大人しくなる。
「傷つけられない存在…?」
機密事項ではある。
しかし、大人達以上に…誰よりもシャクティの側にいて、これからもそう望むであろう少年にはそ・の・真・実・を知る権利と義務があるだろうし、しかもザンスカールの手に渡る事が半ば決定付けられてしまった今となっては、隠し立てを続けるのも虚しい努力だった。
マリアは未婚の女王であるから、お涙頂戴のカバーストーリーが完成し次第、シャクティは姫として大々的に喧伝されるだろう。
その時、ザンスカールの公共放送から真実を知るのと、今、味方から教えられるのではショックの差異もある筈だった。
ヤザンは決断する。
「いいか、良く聞けよウッソ。
シャクティはザンスカールの姫だ!
女王マリアの実の娘なんだよ!
あのクロノクル・アシャーは、シャクティの叔父だ」
「な、なにを――」
ウッソは一瞬、ヤザンが何を言っているのか解らなかった。
「――ヤザンさん、何を言ってるんです!?」
「ニュータイプの貴様なら、解ってみせろ!
俺がその場凌ぎのデマカセを言っていると思うか!?」
「っ…!そんなのって!そんな事って!なんで…そんな事っ」
「黙っていた事はすまないと思っている。後で殴られてやるさ。
だから今は、昇った血を下げてみせろ!このままじゃ鈴の音のカモだぞ!」
殴られてやると言ったのは、子供らを利用し続けるスレた大人の代表としての責任感もある。
お肌の触れ合い通信から聞こえ続ける声の持ち主は、そういう大人の男だったから、ウッソの心にまで安心感を与える。
今まで、そんな大事なことを黙っていたのには確かに憤りを感じるが、それには理由があって、そしてヤザンは自分達の事を思ってそうしていただろうし、そうでないとしても退っ引きならない大人の事情≠ニいう奴があったのだろう。
大人の事情で子供を振り回すなとは常々思うウッソだが、それが理解できてしまうのもウッソ・エヴィンだったし、何より彼はヤザンが好きだった。
少年が息を呑み込んで、そして深く長く息を吐いたのが、ゲンガオゾのコクピットにまで触れ合い通信で伝わって来る。
「落ち着いたのなら、さっきの狙撃の意味も解るな!?
鈴の音の奴は俺達が視えている!すぐに離脱するぞ…!カテジナ機の足がやられている。
このままじゃ、俺達は良い的って奴だが、今ならまだ少ないダメージでやり直せるんだ!」
「…っ!解っているつもりです!」
戦場でのそういうやり取りは隙であっ
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