第八十二話 阪神圧勝その十一
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「団地に着く頃には暗くなってるから」
「余計に注意ね」
「二人でいよう」
達川は真顔で言った。
「俺から離れないでね」
「守ってくれるのね」
「だってね」
そう一華に言われてだ、達川も答えた。
「男がだよ」
「女の子を守るっていうのね」
「一緒にいたら」
それこそというのだ。
「もうね」
「守るものなのね」
「もうこれ絶対だよね」
「不文律ね」
「騎士じゃないけれど」
それでもというのだ。
「そうしたところはね」
「当然っていうの、そう言われると」
「何かな」
「私もスタンガンやブザー持ってるし」
一華も一華で言った。
「特殊警棒も貰ったから」
「警棒って誰に?」
「お母さんに」
一華はあっさりとした口調で答えた。
「ここに行く前にね、それで何かあったらね」
「使いなさいってなんだ」
「例え頭に当たってどうなっても」
その特殊警棒がというのだ。
「襲われてとかいう時は正当防衛でね」
「認められるね」
「だからいざという時は出して」
「使いなさいだね」
「そう言われてね」
そのうえでというのだ。
「渡されたのよ」
「警棒まで持ってるんだ」
「自分の身は自分で守りなさいって言われて」
「そうだったんだ」
「だからお互いにね」
「自分の身は自分で」
「守っていきましょう」
是非にというのだった。
「本当にお互いに」
「それじゃあ二人で」
「女の子だって守られてばかりじゃないのよ」
一華は笑って話した。
「自分の身体はね」
「自分で守って」
「そして」
それでというのだ。
「必要とあればね」
「一緒にいる人をなんだ」
「ここで言うなら達川君をね」
他ならぬ彼をというのだ。
「そうするから」
「それじゃあ俺もだよ」
「本当にお互いね」
「そうしていこう」
「そうね、お互いにそう言うなら」
一華は笑顔になって頷いた、そのうえで達川に話した。その顔には納得したものがはっきりと出ていた。
「そうしていきましょう」
「お家までは送るね」
「あくまで二人で」
「そうするから」
「じゃあそこまでね」
「一緒にいよう」
「そうしましょう」
二人で笑顔で話してだった。
そのうえで実際に電車で大阪まで帰って駅を下りると一華の家まで一緒に帰った。そうしてであった。
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