第二章
[8]前話
「あんまりにも奇麗過ぎて」
「どうしたの?」
「この世のものじゃないみたいだよ」
こう言うのだった。
「もうね」
「そこまでよね」
妙子もそれはと応えた。
「私もそう思うわ」
「お兄さん凄いよ」
「全くよ、只でさえ美形なのに」
それがというのだ。
「もうね」
「女性になったら」
「嘘みたいな美人さんよ」
息を呑んだ顔のまま言った、そして舞台を観ていったが。
誰もが揚巻に心を奪われた、それは舞台が終わってからもで。
ネットで勇気のことが評判になった、それで妙子は家で兄に言った。
「揚巻話題になってるから」
「それは嬉しいね」
「あまりにも奇麗でね、何か前以上に妬けるわ」
「またそう言うんだ」
「言うわよ、全くお兄ちゃんがあんまりにも美形だと」
妙子はやれやれという顔で言った。
「並の妹は苦労するわ」
「別に気にしなくてもいいし芸能界には」
「そう言ってもよ、身近にいたらよ」
あまりにも整った美形がというのだ。
「そうなるわ」
「そうなんだね」
「そうよ、ただお兄ちゃん演技もいいし」
それでというのだった。
「これからもっと人気出るわよ」
「そうなって欲しいね」
役者として人気が出ることは冥利に尽きる、それで兄もそれはとなった。
「僕としても」
「ええ、ただ本当にね」
「また言うんだ」
「言うわよ、美形過ぎる兄を持つと苦労するわ」
溜息混じりの言葉を出した、そしてだった。
妙子はそれからも兄を見た、彼は彼女の言った通りさらに人気が出てテレビドラマでもいい役を貰える様になった。だが。
後に夫になる兵庫にだ、こう言われたのだった。
「奇麗過ぎるとな、女の人でも」
「それでもなの」
「帰って近寄れないな」
「そうよね、自分には釣り合わないって思ってね」
「お兄さんの揚巻はそうだったよ」
「わかるわ、奇麗過ぎるのも大変よ」
周りそれに見る者としてはとだ、妙子も頷いた。そんな兄を見て。
兄は絶世の美女 完
2023・6・21
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ