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おっちょこちょいのかよちゃん
293 更に北方へ
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です。今の『向こうの世界』での戦局が気になるのですか?」
「はい、それで妻や娘が無事にやっていけているのかと思うと心配でして・・・」
「それでしたら今の状況をお教えしておきましょう。今貴方の娘さん・山田かよ子さんは行方不明となっている友達の藤木茂という少年の捜索を続けている模様です。そして先代の杖の所有者・山田まき子さんは今平和を正義とする世界の本部にてそれぞれの皆さんの動向を確認されており、必要とあらば先代の護符の所有者や杯の所有者と共に指示を出されております。今、戦局ではこちらが有利となっていますが、山田かよ子さんは藤木茂少年の奪還に多少手こずっているようです」
「そうか」
「ですが、杖の所有者の御父上ならこの世界からでも存分に貢献できる方法をお教えいたしましょう。久能山東照宮に行き、徳川家康公に祈願するのです。その力が娘さんに伝わるでしょう」
「よし、行ってみよう」
 かよ子の父は三穂津姫に礼をし、静岡の久能山東照宮へと向かった。

 久能山東照宮。徳川家康を祀る神社である。かよ子の父は長い石段を登り、息を切らしながらも本殿に辿り着いた。そこで祈願する。
(どうか、母さんやかよ子が無事で勝ってきますように・・・)
 そして天から光が見えた気がした。
[そなたの願い、叶えようぞ。ただし、時間がかかるのですぐには無理だが、きっと勝利に導くようにしよう]
 声が聞こえた。かよ子の父は我に返ったが、光は太陽の日差し以外になく、謎の声もそれ以上は聞こえなかった。
(今のは・・・、もしかしてあの徳川家康の声、なのか・・・?)
 かよ子の父はそう思いながらも東照宮を去った。
(祈るだけでもかよ子達の為になるといいが・・・)

 かよ子達は長山と通信機で連絡を取り、藤木を攫った人間が今どこで何をしているのか探知して貰うことにした。
(北の方は間違いないけど・・・)
 藤木救出班は長山の連絡を待つ。そして返答が来た。
『皆、藤木君は北の方にいるのは間違いないよ。それからその藤木君と一緒にいた人達はまた別の人と一緒にいるよ!』
「別の人?!」
『うん、その人もまた中国の皇帝のような人だったよ』
 かよ子は以前戦った時、紂王という人間とも対面したのだが、他の敵に身を寄せているとなると厄介な感じがしてならなかった。
「ありがとう、長山君、気を付けて行ってくるよ」
 かよ子は若干恐怖がでておっちょこちょいしてしまうのではないかといつもの不安に駆られた。だが、どうであれ藤木を取り返す為には行く以外に選択肢はない。
「山田かよ子、覚悟を決めようとしているのか?」
 次郎長が尋ねた。
「・・・うん、おっちょこちょいしちゃうかもしれないけど、何としても勝たなきゃって思ってるよ!」
 かよ子は羽根を北の方へと飛ばした。目的は無論、
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