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星河の覇皇
第八十四部第二章 交渉の用意その十一

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「それだけあるからな」
「とてもですね」
「他の分野の予算を圧迫している」
「しかしですね」
「エウロパ軍は連合への備えだ」
「その連合と融和出来れば」
「軍事費は少なくて済む様になる」
 そうなるというのだ。
「そしてだ」
「発展に予算を回せる」
「開発や開拓にもな」
「そうですか、ですが」
「これはまず無理だ」 
 ギルフォードはカミュに冷静に述べた。
「まずな」
「左様ですね」
 カミュもこう返す。
「我々と連合の融和は」
「それには一つ条件がある」
「その条件はというと」
「共通の敵だ」
 ギルフォードはこの存在の名前を出した。
「それが必要だ」
「連合とエウロパ共通の」
「そうしたものが出ればな」
「我々も手を結べますね」
「そうだ、何故ハプスブルク家とブルボン家が手を結べたか」
「それまで不倶戴天の敵同士でしたが」 
 欧州を代表するこの二つの家はそれこそブルボン家がその本家筋であるヴァロワ家の頃から対立してきた、それは数百年に渡る根の深いものだった。
「しかしでしたね」
「台頭するプロイセンという共通の敵を得てだ」
「手を結びましたね」
「そうだった、連合は国家統合の為に共通の敵が必要だ」
「四兆の市民を一つにする為の」
「それが我々だ」
「我々も一千億の国民共通の敵として」
 それでというのだ。
「連合が必要ですね」
「そうだ、結局は同じだ」
「エウロパと連合は」
「そうなる」
「国家には敵が必要な場合もありますね」
「少なくとも国防で仮想敵国は必要だ」
 ギルフォードは落ち着いた声で述べた。
「現実としてな」
「我々は連合で」
「連合は我々だ」
「主な仮想敵国は」
「だから我々は対立している、しかしその対立をな」
「融和出来れば」
「共通の敵が出来てな、この場合連合が主な敵になれば」
 この場合はというのだ。
「我々の軍事費は減らせる」
「そうなりますね」
「そうだ、また共通の敵がおらずとも」
「それでもですか」
「何らかの経緯や事情でな」
 ここではあえて具体的な事態を述べなかった、ギルフォードは兎角連合と融和出来た場合について述べたのだ。
「それでだ」
「連合と融和出来れば」
「そして平和条約を結ぶことが出来ればな」
 その場合はというのだ。
「我々としてもな」
「膨大な軍事費を抑えることが出来」
「発展に専念出来る」
「そちらに予算を回せますね」
「これまでより遥かにな、そうなるが」
「それは、ですね」
「まずない」
 ギルフォードはこれまで以上に冷静に述べた。
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