第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「そんな謝ることも」
「あるに決まってるでしょっ」
氷雨はその智樹に角を出さんばかりに怒って言った。
「何言ってるのよ」
「えっ、そうか?」
「そうよ、いきなりお邪魔するんじゃなくて」
氷雨はさらに言った。
「事前に。前の日にでもね」
「連絡してかよ」
「行ってしかもご飯とかも」
これもというのだ。
「自分でよ」
「用意してか」
「食べなさい、いいわね」
「兄弟なのにいいだろ」
「親しい仲にも礼儀ありでしょ」
こう言ってだった。
氷雨は自分だけでなく智樹にも誤らせた、これには千葉も瑞希も驚いた。彼女の行動力に対してだけでなく。
「あの智樹を抑えるなんて」
「あの娘凄いわね」
「家族でも無理なのに」
「かなりのものね」
「若しかしたら」
千葉は二人が去った後で妻に話した。
「あの娘なら」
「智樹君を抑えられるのね」
「そうかもな」
こう言うのだった。
「若しかしたら」
「そうかも知れないわね」
夫婦で話した、そしてだった。
二人を見守っているとだった、氷雨は智樹が何か無体をする度に。
彼を叱って相手のところに連れて行って一緒に謝ったりもした、そうして彼の常識のない部分を正す様に言った。すると。
怒られ注意され続けた智樹は行いをあらためた、瑞希はその様子を見て夫に言った。
「いや、常識のある彼女さんでね」
「よかったっていうんだ」
「ええ、よかったわ」
夫に笑顔で話した。
「本当にね」
「確かにあいつ色々とな」
「常識なかったわね」
「このことは否定出来ないしな」
敦哉、智樹の兄である彼にしてもだ。
「そうだしな」
「その困ったところがよ」
「氷雨さんによってか」
「あらたまってね、ただね」
ここで瑞希はこうも言った。
「智樹君怒られても逆キレしないわね」
「ああ、子供の頃からな」
「氷雨さんみたいにきつく言わないけれどわからないけれど」
それでもというのだ。
「それはないわね、暴力もね」
「振るわないんだよ」
「そうしたところはいいわね、悪い部分がなおるにも」
智樹の様にというのだ。
「それなりのものが必要ね」
「そうだな、智樹は確かに困ったところがあっても」
敦哉もそれはと頷いて述べた。
「悪い奴じゃないからな」
「だからよくなったのね」
「そうだな、そう思うと氷雨さんに出会えてよかったし」
「あいつにそれなりのものもあってな」
「よかったわね」
「そうだな」
二人で笑顔で話した、そして彼等を見ていくとだった。
智樹と氷雨は大学を卒業してからも付き合いやがて結婚した、その頃にはもう彼の傍若無人さは嘘の様になくなっていた。
弟を制御せし者 完
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ