第84話 西風の絶剣VS魔弓のエンネア
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」
だがエンネアは残りの浮いていた矢を全てリィンに向けて放った、タイミングをずらして体勢を崩しわざと足元を攻撃してジャンプするように陽動したのだ。
片腕、ましてや空中でこの量の矢は防げない、エンネアは勝利を確信した。
「爆芯!」
だがリィンはそれを読んでいた、狙い通り放たれた矢は真っ直ぐにリィンに向かってきたがリィンは圧縮した氣を解き放ち矢を全て吹き飛ばした。
「なっ……!?」
予想もしていなかった動きにエンネアは一瞬硬直してしまった。リィンの情報は調べていたのでクラフトなどは把握していたエンネアだったが、爆芯は前に戦った痩せ狼ヴァルターとの戦いでリィンが新たに得た技だ。故に情報の中に入っていなかった。
完全に虚を突かれたエンネア、リィンは空中で太刀を構え直すとエンネアに目掛けて袈裟斬りを放った。
「貰った!」
「しまっ……!」
距離を詰められたエンネアは死を覚悟した。だがその直前で太刀がエンネアを斬る前に止まった。
「えっ……」
「俺の勝ちだな」
リィンはそう言うと太刀をしまった、エンネアはそんなリィンの行動が理解できなかった。
「待って、どうして私を斬らないの?」
「あんたが俺を本気で殺す気が無かったからさ、だから太刀を収めた」
リィンがエンネアが本気で自分を殺す気が無いと戦いの中で悟ったのだ。もし彼女が本気ならもっと複雑な矢の操作でリィンに近づけさせることなくなぶり殺しにでいたはずだ、でも彼女は態々真正面からリィンが何とか対応できるような攻撃をしていた。
「私が手を抜いているって分かっていたの?」
「ああ、あんたの実力はそんなものじゃないだろう?本気なら俺は殺されていた」
「でも私が憎くないのかしら?貴方は矢を受けたり怪我をしたのよ?しかも薬まで盛られて……普通ならやり返したいって思わないの?」
「別に。俺はケンカを売られたから買っただけでそれが終われば遺恨はないよ」
「……」
あっけらかんとそう言うリィンにエンネアは最初はぽかんとしていたが徐々に笑い始めた。
「ふふっ……貴方っておかしな子ね、矢を刺されてもやり返さないなんて……貴方にはその権利があるのよ?」
「だから良いって。あんたとの戦いは楽しかったし俺も強くなれた、それで十分だ」
「そう……ならこれくらいはさせて頂戴」
エンネアはそう言うと回復のアーツでリィンを治療した、そして何か薬を渡す。
「これは?」
「鉄機隊に伝わる回復薬よ、体の治癒力を高めてくれるの」
「そうなのか、なら有難くいただくよ」
リィンはそう言うと躊躇なく薬を飲み干した。
「おおっこれは
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