第84話 西風の絶剣VS魔弓のエンネア
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た。
「……俺は逃げない。今逃げたら俺はもう結社とは戦えない、レオンハルトの前には立てない」
リィンはかつて完敗した強者を思い浮かべた。奴とはまたぶつかる事になるとリィンは直感で感じていた、今逃げたらもうあの男の前には立てないとリィンは思ったのだ。
「このくらいの逆境を跳ねのけられないならどのみちこの先生きてはいけない!勝負だエンネア!」
リィンは片腕で太刀を構えてそう叫んだ。
「見事な覚悟ね、なら私も全力でお相手するわ」
エンネアはそう言って弓を構える、彼女の周りには沢山の矢が浮かんでリィンに照準を合わせていた。
「せめて苦しまずに逝きなさい……はっ!」
エンネアは弓から一本の矢を放つ、リィンは太刀を水平に構えて矢に向かって歩みを進めた。
(喰らったら死ぬ……そんな極限の状況こそ成長するチャンスだ!)
死を目前にしてリィンの集中力は極限にまで研ぎ澄まされていた。
エンネアの放った矢がリィンの制空権に入ったその瞬間、リィンは太刀の先を矢に当てて力の流れをコントロールする。すると矢の軌道が逸れてリィンを横切った。
「……ッ!」
それを見たエンネアは驚きながらも直ぐに新たな矢を放ち更に浮かせていた矢を3本リィンに向かわせた。しかもすべての矢が不規則な動きをしながらリィンに向かっていく。
「はっ!」
だがリィンはその四本の矢を全ていなした、まともに動けないのに自身の矢を防いだことに流石のエンネアも驚きを隠せなかった。
ジリジリとゆっくり歩を進めながらエンネアとの距離を縮めていくリィン、エンネアは矢を放つが全ていなされてしまう。
(この子、なんて集中力なの……!?)
自分より年下の少年、最初は多少の油断もあった。だがこの時何故エンネアが自身が慕うマスターが興味を持ったのか身をもって理解した。
(なるほど、この子は剣帝に匹敵する逸材ね。あの方が気にするわけだわ……!)
(おかしいな、こんなに痛いし死ぬかもしれないのに楽しくなってきた……!)
久しく見なかった『強者』にエンネアは無自覚に心を躍らせていた。そしてリィンも死を目前にして笑みを浮かべていた。
「……」
「……」
互いに構えにらみ合う二人……そして先に動いたのはリィンだった。
「はっ!」
エンネアは1本の矢を高速で放つ、速さが今までと違いタイミングが僅かにずれて力の流れを完全にいなすことが出来なかったリィンは大勢を崩しながらも太刀の柄で矢を受けた。
続けて足元に放たれた2本の矢をなんとか飛んで回避する。だが……
「貰ったわ!
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