第二章
[8]前話
「業種は同じですし」
「所在地も同じですしね」
住所もというのだ。
「もうこれって」
「ええ、前の倒産はあれですわね」
茨城は冷静な顔で述べた。
「計画倒産でしたわ」
「色々やばくなってですね」
「一旦リセットしまして」
「雲隠れしてですね」
「ほとぼりが冷めるのを待っていましたわ」
「そうですね」
「世の中これで済むと思っている人もいますの」
茨城は今度は冷徹な顔と声で述べた。
「一旦雲隠れしまして」
「ほとぼりが冷めるとですか」
「また動けると思っている人が」
「無理ですよね」
真顔でだ、岩手は茨城に問うた。
「人の評判、信頼ってなくならないですから」
「そうしたものを何とも思っていない人もいましてよ」
「それがこの人ですか」
「そうでしてよ」
「とんでもない人もいますね」
「ですが見ていなさい」
茨城の声は冷徹なままだった。
「そうした企業、人がどうなるか」
「それをですか」
「ええ、これから」
こう言って岩手に書類を渡してそちらの仕事をさせた、岩手も応えてその仕事をしていった。そうして働いていくと。
「あの社長さん捕まりましたね」
「ええ、労働基準法違反に違法な取引に詐欺にと」
「色々ばれて」
「そうなりましたわね」
「いや、計画倒産でリセットして」
「やりなおそうとしてもでしてよ」
「そうはいかないですね」
茨城が前に言ったことを思い出しつつ頷いた。
「そうですね」
「信頼つまり評判は消えませんわ」
「何をしてもですね」
「ですからあの人は捕まりまして」
「会社も潰れたんですね」
「そうですわ、では私達はああした人達を反面教師にしまして」
「真面目に信頼を損ねない様にして」
岩手は真剣な面持ちで応えた。
「働いていくことですね」
「いいですわね」
「そうしていきます」
ここでも真面目に頷いてだった。
実際に真面目に働いていった、そうしてよい社員として活躍していった。信頼出来る評判の人物として。
計画倒産をしても 完
2023・6・18
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