接触
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込んでいるのか?」
「そりゃあそうさ。お前たちみたいな雑魚でも勝てる大会なら、俺たちの名を売るのにうってつけだからな」
挑発に挑発で返され両者の間に緊張が走る。一触即発の雰囲気になり見ていた者たちは煽るもの、沸くもの、あわてふためくものと様々な反応を見せていたが、間に一人の女性が割って入る。
「勝負したいなら受けて立つよ。ただし、大会でだ」
「カナ」
ここで騒ぎを起こすのは得策ではないと判断した彼女はその場を納めるべくそう相手へと告げる。それを聞いた瞬間の相手の反応に、ギルダーツは違和感を覚えた。
「邪魔が入って興が冷めたな。出直すとするよ」
まるで始めから彼女が間に入るのがわかっていたかのようにスムーズに踵を返し、その場から離れようとする。多くの者の視線を浴びながら彼らから距離を取ったかと思うと、男は再度向き直り二人へと視線を向けた。
「明日のバトルパート、楽しみにしてるよ。ギルダーツ・クライヴ」
それだけ告げ、その場を後にする男。残された二人は顔を見合わせると、厳しい顔付きで小さくなる背中へと目を向ける。
「なんだい、あいつ」
「さぁな。でも、ありがとな、カナ」
「なっ////あたしは別に・・・」
頭を撫でられ照れ臭そうにしている娘の顔を見て笑みを浮かべながら、彼は男が言い残した言葉を繰り返した。
「明日のバトルパート・・・だと?」
組み合わせは当日のその瞬間までわからないはず。それなのに平然とそう言い放った男に違和感を抱きながらも、彼はカナの肩に手を回し歩き始める。
「酔いが冷めたからもう一杯行こうぜ!!カナ」
「飲み過ぎだよ!!いい加減にしな!!」
二人の元から離れた一つの影。彼は人目のつかないところへと入ると、待ち構えていた自身よりも背の高い男に声をかける。
「これであいつは明日、出てくるはずだぜ」
「だといいがな」
歯切れの悪いその男の言葉に首をかしげる。何を不安視しているのかわからず、男へと彼は問いかけた。
「お前はこの大会出ないじゃないか」
挑発した本人が出ないのであれば相手はその誘いに乗りようがない。そう考えていた彼だったが、男はそれすらも計算のうちと言いたげに笑っていた。
「俺の身なり、気付かないか?」
「何・・・あぁ、そう言う」
男は自信の格好を見せて得意気な表情を見せる。それで何が言いたいのか理解した男は、タメ息をついた。
「あいつに話されたら、一瞬でバレるな」
「あいつならそんなしゃべんねぇよ。随分気にしてるみたいだしな」
舌を出して悪者のような表情を見せる彼に、頭を抱えた男はわざとらしくタメ息をついてみせる。
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