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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第157話:閉じた世界を抜けて
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女達が今居る場所は亜空間。一度閉じてしまった空間を外から抉じ開ける事は不可能に近い。
彼女達が生き残る為には、彼女たち自身の力で問題を解決してもらわなければならなかった。
かと言って、はいそうですかと黙っていられない男がここに居た。
「おっちゃん、ちょっと行ってくる」
「何?」
「何もしないで待ってるなんて性に合わないんでね。近くに行けば、何か分かる事があるかも」
〈テレポート、プリーズ〉
そう言って颯人は1人さっさと魔法で現場へと向かってしまった。
残された者達の内、透は何度か颯人が居た場所と弦十郎を交互に見る。そして、何かを決意した顔になると彼も弦十郎に頭を下げてその場を後にした。彼もまた、クリスの窮地を救う為に何か出来る事は無いか探しに行くのだろう。
愛する者を思う若者達の後ろ姿に、弦十郎は仕方がないとでも言うかのように溜め息を吐いた。
一方、発令所の自分の席でエルフナインは必死に頭を回転させていた。この場に居ない了子は必死にLiNKERの改良の為に奮闘し、アルドもまたキャロルの治療と並行して颯人達魔法使いを支援する為奔走している。
そんな中、同じ頭脳担当の自分が何も出来ずにいる訳にはいかないと考えていたのだ。
――何か……僕にも何か出来る筈……ッ!――
敵は位相差障壁を亜空間の檻に、そして強固な鎧と使いこなす新型アルカノイズ。だが肝心のアルカノイズの姿が見当たらない。今奏達が戦っているのはどれも普通のアルカノイズばかりである。
そこで彼女は気付いた。新型が出現する際に観測されたフィールドが半球の形状をしていた事に。
「ッ! 皆さんッ! そこから空間の中心地点を探れますかッ!?」
『こちらで観測した空間の形状は半球ッ! であれば、制御器官は中心にある可能性が高いと思われますッ!』
確かに理に適った意見だ。これだけの空間、用意するには相応の基点となる場所が存在する筈。であれば、それが中心地点にあると考えるのは当然の事と言えた。
問題なのはその中心地点をどうやって特定するかである。
「アタシの魔法で全部焼き尽くすか?」
「いえ、それでは効率が悪すぎる。もっと別の――」
どうやって空間の中心を特定するかで話し合っていたその時、クリスが周囲に弾をばら撒く様に撃ち始めた。放たれた銃弾があちこちに突き刺さる。
「クリスちゃんッ!? 闇雲に撃っても――」
「唄い続けろッ! ばら撒いたのはマイクユニットと連動するスピーカーだッ!」
見ると確かに先程クリスが撃った場所には、ただの銃弾ではなくスピーカーが花開く様に展開されていた。あんな器用な物も撃てたのかと、奏は内心舌を巻いた。
「空間内に反響する歌声をギアで拾うんだッ!
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