暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第157話:閉じた世界を抜けて
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にし、それから何も言おうとしないクリスに奏は声を潜めて隣の翼と話し合った。
「こりゃ相当骨が折れるな……」
「うん……颯人さんは何て?」
「今回ばっかりは颯人もお手上げだってさ」
「デリケート過ぎる問題故、迂闊な手出しができない?」
「そう言う事らしい」
事はクリスと透と言う、固い絆で繋がり合っていた2人の間の問題。そこに部外者が首を突っ込んでも、無駄に引っ掻き回すだけで事態は好転するどころか下手をすると悪化する危険性がある。触らぬ神に祟りなしとは違うが、第三者が手出しの出来ない状況と言うのはどうしても存在する。今回がその一つだった。何しろ奏達は表面上のクリスと透としか触れ合えていないのだから。
――誰か他に2人の事を良く知る人が居てくれたらな〜……――
額に手を当て天井を仰ぎ見ていると、何時の間にか話が響の終わっていない夏休みの宿題の方に移っていた。
「どうしよう、未来ー」
「頑張るしかないわね。誕生日までに終わらせないと」
「立花の誕生日は近いのか?」
「はい、13日です」
もうあと2週間もない。であれば、本当に頑張って終わらせないと誕生日も宿題に追われる事になってしまう。それは是が非でも避けたいだろう。
「ま、今年の誕生日は楽しいだろうから、それを目標に頑張りな」
誕生日を盛り上げるとなれば、颯人の事だからとっておきの手品を用意してくれるだろう。世界的有名マジシャンが盛り上げてくれる誕生日となれば、きっと一生モノの想い出になるに違いない。
そんな話で場が少し盛り上がった時、響の持つ通信機からアラームが鳴った。本部からの緊急の通信を伝えるアラームだ。
それが聞こえた瞬間、装者は全員顔を引き締めた。
「はい、響です」
『アルカノイズが現れたッ! 位置は第19区域、北西Aポイント。そこから近い筈だ。急行してくれッ!』
弦十郎からの通信に、装者達は未来をその場に残して急いで現場に向かい即座にシンフォギアを纏うと、蔓延るアルカノイズ達の殲滅に乗り出す。流石に4人も居ればアルカノイズ程度敵ではなく、このまま何事も無く終わるかに思えた。
しかしその様子を、近くのビルの上から見下ろしている人影があった。パヴァリア光明結社の幹部、カリオストロとプレラーティである。翼とマリアが日本に帰国する際にも攻撃を仕掛けてきた2人が、またしても装者を相手にちょっかいを掛けてきたのである。
だが今回は2人だけではない。前回に加えて今度はティキの起動を終わらせたサンジェルマンも参加したのである。
「ようやく到着と言うワケダ」
「首尾は?」
「まだ誘い出したところよ」
カリオストロの言葉にサンジェルマンは下を見下ろし視線を彷徨わせた。見える範囲において、戦っている
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