悪の軍団
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倒れ、白目を剥いたハルトへ、可奈美は安心したように息を吐く。
「ハルトさん、無事でよかったよお……」
「たった今無事じゃなくなったけどね……」
「だってぇ……ハルトさん、朝からいなくなっちゃうんだもん……朝の鍛錬から帰ってきてもいないから、何かあったのかなって……」
「大丈夫。大丈夫だから……!」
泣き出しそうになる可奈美に弱りながら、ハルトは起き上がる。
「可奈美ちゃんも来てくれたんだ……」
「だって……」
しゃがみ込みながら、ハルトの膝を掴む可奈美。
ハルトは可奈美を起こし、何とか泣き止んでもらおうと話題を考えた。
「真司から聞いたんだけど、他の皆も探してくれてるんだって?」
「うん! あ、ハルトさんが見つかったことを皆に伝えなきゃ!」
可奈美はそう言って、全員のグループトークに投稿する。
早朝、クラーケンからの連絡でラビットハウスを飛び出してきたハルトは、今スマホを持っていない。どんなやりとりが行われていたのか、ハルトには知る由もない。
「あ、みんなこっち来るって」
「本当? わざわざそんなことしなくても……」
「まあまあ、気にすんなって。それより、合流したら早く戻ろうぜ。ハルトお前、今日誕生日なんだろ?」
肩を抱いてきた真司のその言葉に、ハルトは顔を一瞬強張らせた。
「あれ……? なんで真司がそれを?」
「だって、可奈美ちゃんがさっき言ってたから」
「可奈美ちゃんにもそれ伝えた覚えが……?」
「あ、ごめん! もしかしてあまり知られたくなかった?」
ハルトの反応に、可奈美は手を合わせた。
「タカヒロさんからの手紙、勝手に読んじゃって」
手紙。
反射的にハルトは、上着の懐に触れる。
「落としてたのか……でも、俺の誕生日何て気にしなくていいのに……」
「ダメ! お祝いしたいよ! 真司さんだってそうでしょ?」
「ああ! もちろんだぜ!」
可奈美の言葉に、真司も同意する。
「これでハルトも二十歳だよな! パーティーはパァーっとビール飲もうぜビール!」
「それは真司さんとコウスケさんだけしか楽しめないじゃん! みんなで楽しく剣技会とかやろうよ!」
「それこそ可奈美ちゃんだけしか楽しめないじゃねえか!」
可奈美と真司が楽しそうに言い合っている。
二人を眺めながら、ハルトは恐る恐る声をかける。
「あ、ね、ねえ。別にパーティーなんてしなくていいよ。それより、早くラビットハウスに戻ろうよ。俺今日シフトだし、このままお店開けておくのも心配だからさ」
「ダメだよ! ちゃんとみんなでお祝い、やろうよ!」
「そうだぜハルト。そもそも何でそんなに誕生日なんて隠してるんだ?」
可奈美の質問に、ハルトは固まったま
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