第二十一話 哀愛その十三
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地下鉄に乗っていたが??はその中でこんなことを言った。
「お使いで乗るにしてもです」
「どうしたのかしら」
「最初は複雑で」
「地下鉄の路線のことね」
「はい、それで中々覚えられませんでした」
「東京の地下鉄は独特ね」
颯姫も否定しなかった。
「確かにね」
「多くの駅と路線があって」
「複雑ね」
「そうですよね」
「私は一瞬で覚えられたけれど」
それでもというのだ。
「複雑であることはね」
「事実ですね」
「言うなら血管よ」
颯姫はこうも言った。
「地下鉄は」
「そうですか」
「東京のね」
「じゃあ地上の鉄道は」
「同じよ、ただ山の手線はね」
「結界ですね」
「そうでもあるわ」
「地下鉄と違って」
「東京の血管であってね」
それと共にというのだ。
「結界であるのよ」
「そうした場所ですね」
「私達も移動に使っているけれど」
山の手線をというのだ。
「それと共にやがてはね」
「壊すものですね」
「そうでもあるわ」
こう??に話した。
「あちらはね」
「そうですか、何かです」
??は少し俯いて颯姫に言った。
「山の手線を使っていて最近は」
「どうしたのかしら」
「親しみが持ててきました」
「そうなの」
「はい、便利ですし」
このこともあってというのだ。
「僕としては」
「親しみを持ってきているのね」
「そうなっています」
「貴方鉄道が好きなの」
「そうですね」
??は否定せず答えた。
「僕としてもそう言われたら」
「そうなのね」
「そうだと思います」
こう答えるのだった。
「実際に」
「そうなのね」
「はい、しかし」
「ええ、私達はね」
「その山の手線もですね」
「いずれはね」
「壊さないといけないですね」
颯姫に顔を向けて話した。
「やっぱり」
「今言った通りね」
「そうですね」
「貴方がしないというなら」
「他の人がですか」
「私も含めてね」
颯姫は自分から話した。
「そうするわ」
「そうですか」
「ただ。この世界に親しみを持っても」
それでもとだ、颯姫はさらに話した。
「私達はね」
「この世界、人間をですね」
「人間自体を滅ぼすから」
それ故にというのだ。
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