第一章
[2]次話
お姉ちゃんが風邪をひいたので
この日一家で映画館に行って人気のアニメとある猫型ロボットと眼鏡の男の子が主人公の大長編作品を観に行く予定だった。
だが、だった。
「お姉ちゃんが風邪をひいたから?」
「ああ、来週にしよう」
「今日はお家にいましょう」
秋田彩奈まだ小学二年であどけないややふっくらとした黒目がちの大きな目を持つ少女に両親は言った、黒髪をショートにしているのが似合っている。
「いいわね」
「絶対に行くからな」
「観たいのに」
彩奈は残念そうに言った。
「来週なの?」
「来週絶対に行くからな」
父の文雄、眼鏡をかけた面長で黒髪を短くした中肉中背の彼は優しい声で言った。仕事は区役所の職員である。
「そうしよう」
「けれど私」
「それじゃあね」
ここでだ、娘がそのまま成長した様な顔で胸が大きい黒髪を長く伸ばしている母の祐子が言った。腰を落とし娘と同じ目線になって話した。
「彩奈一人でテレビを観るのと二人で観るのどっちが楽しいかしら」
「お姉ちゃんと一緒に?」
「そう一人で観ても寂しいでしょ」
「そういえば」
彩奈はそうした時を思い出して母に答えた。
「楽しいけれど」
「それでもでしょ」
「何かね」
「一緒に観てお話する人がいないとね」
「その分楽しいわ」
「そうでしょ、それで若しもよ」
母はさらに言った。
「若し彩奈が風邪をひいて他の皆が彩奈を置いていってね」
「お家になのね」
「映画を観に行ったらどうかしら」
「そんなの凄く嫌よ」
彩奈はすぐに言った。
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