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星河の覇皇
第八十四部第二章 交渉の用意その五

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「そうだったな」
「左様でしたね」
「そうだった、催しを開催してだ」
 その借金でだ。
「高価な書籍も購入していたな」
「道路を整備したりもしていましたね」
 尚個人の遊興費にも使っていた、とかくカエサルは借金というものを全く恐れない人物であったのだ。
「カエサルは」
「そして借金は膨大なものになった」
「しかしその借金で得た市民からの支持が」
「彼の将来を開いた」
「そうでしたね」
「そしてカエサルはその借金を返済した」
 ローマ市民が誰もが知るまでになっていたそれをというのだ。
「身を立てた時にな」
「それが出来て」
「それどころか財産も持った」
 借金ではなく、というのだ。
「正反対にな」
「そう考えますと」
「時によって借金はいい」
「左様ですね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「今のエウロパも然りだ」
「それ故に」
「今は国債が必要だ、遠慮なく発行していく」
「そこで予算の不足分を確保する」
「そして発展した時に返済する、エウロパは復興したが」
 エウロパ戦役、それで受けた傷からだ。尚ここでは連合に課せられた彼等が言う賠償金もありこれも完済している。
「だが」
「それでもですね」
「復興で終わりではない」
「発展もですね」
「私は復興は所詮だ」
「はじまりに過ぎないですか」
「私が考えている政治のな」
 エウロパをどうするか、その為の政治のというのだ。
「最初に過ぎない、その復興からだ」
「今の発展ですね」
「それを考えていた、多くの政治家は復興を言っていたが」
 エウロパ戦役でのそれをというのだ。
「私は違っていたな」
「発展をですね」
「最初から言っていたな」
「左様でしたね」
「政治家は広く先を見るものだ」
 ギルフォードはまた紅茶を飲んだ、言うまでもなくその紅茶は最高級のロイヤルミルクティーである。
「本来の政治家はな」
「そして閣下は」
「そうした政治家だと自負している」
「私と同じく」
「そこでそう言うのが卿だな」
 ギルフォードはカミュの今の言葉を聞いて笑った、そのうえで言った。
「自信はあるか」
「はい、これ以上はないまでに」
 カミュはこう返した。ギルフォードの前に座っていてコーヒーを飲んでいる。
「実力に裏付けされた」
「だからか」
「はい、私と同じくです」
「私はそうした政治家か」
「広く先を見られる、ですから」
「次の選挙ではか」
「閣下を選挙で破り」 
 そしてというのだ。
「閣下以上にです」
「エウロパを発展させるか」
「その様にします」
「言うものだな、だが次の選挙もだ」
「閣下が勝たれますか」
「そうだ、だがそこまでの意気を買う」
 ギルフォードは笑って答えた。
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