第八十四部第二章 交渉の用意その四
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それでだ、ギルフォードも言うのだ。
「エウロパは発展出来ない」
「そうなりますね」
「そうだ、今の赤字よりもだ」
「エウロパの将来ですね」
「国家が発展し生き残る為には財政赤字も時としてだ」
「許されることですね」
「無論赤字にならない方がいい」
ギルフォードもこれを最善と考えている、それで言うのだ。
「当然な、しかしだ」
「今のエウロパは」
「発展の為の政策にはかなりの予算が必要だが」
それでもというのだ。
「今のエウロパの予算はな」
「通常では、ですね」
「その政策を全て実行出来ない」
今のエウロパの国家予算ではギルフォードが推し進めるエウロパ発展の為の政策を全て実行出来ないのだ。
「だからだ」
「国債を発行する」
「インフラ、教育、福祉にだ」
「農林業や水産業に」
カミュは第一産業を挙げた。
「鉱工業に商業に」
「その他の産業の振興にだ」
「軍事もですね」
「全て実行しなければだ」
それこそというのだ。
「エウロパは発展出来ないが」
「そして生き残れないですね」
「予算が足りない、ならな」
「国債ですか」
「それを発行する、そして国家を発展させれば」
「その収益で、ですね」
「国債も解決出来る」
かなりの額になっているがというのだ、既に。
「だからな」
「今は、ですか」
「国債をさらに発行する」
「エウロパの将来の為に」
「そうする、財務省が嫌な顔をすることは当然としてだ」
それをわかってというのだ。
「あえてだ」
「財務省に言うことを聞かせますか」
「財相を通じてな」
そうしてというのだ。
「そうする、説得してな」
「国債は必要ということをお話されて」
「事実だからな、借金も財産という言葉もあるな」
こうも言うのだった。
「そうだな」
「左様ですね」
「時としてだがな」
「将来発展出来るならば」
「借金もだ」
忌避されるべきものだが、というのだ。
「財産のうちだ」
「大事な予算故に」
「そうなる、私は今の国債をだ」
かなりの額になっているがそれをというのだ。
「全て返済することなぞだ」
「造作もないですね」
「そうしたものだと考えている」
「だからですか」
「今はな」
「国債を発行しますか」
「発展すれば今の国債なぞ何なく返せる」
造作もない、そうした言葉だった。
「むしろ将来を考えず借金を恐れるのではな」
「将来はないですか」
「カエサルは借金を恐れなかった」
ギルフォードはこの英雄の名前を出した。
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