第2話
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かのアイデアであったが、それだけではこの俺には届かん。出直して来るが良い」
「戦いは望まん。だが、自らの野望の為に平気で人を傷付けようとする外道を見て黙っていられる程……私はお人好しではない!」
「いや、お前はお人好しだ。その程度の粗末な装備だけでこの俺に戦いを挑もうとしているのだからな」
カッコつけているハドラーちゃんだが、内心は緊張でガッチガチであった。
(絶対に敗けられん過ぎて、2つの心臓がバクバクする!ここで大差をつけられて惨敗してみろ……アバンの奴が修業の旅をしなくなる恐れがある!そのなれば……大魔王バーンとの戦いに大きく響く!)
緊張でガッチガチになりながら、右手から覇者の剣を生やした。
「例えばだ……この剣は何で出来ていると思う?」
ハドラーちゃんが覇者の剣を思いっきり振り下ろして床を斬ると、発生したヒビがアバンの足下を通過して壁まで届いた。
「この剣はオリハルコンで出来ている。お前が今着ている鎧など、一瞬で微塵切りに出来るわ」
だが、アバンは怯むどころか逆にハドラーちゃんを急かす。
「言いたい事はそれだけか?」
「ふっ」
ハドラーちゃんが両肩のスラスターを起動させながら、覇者の剣でアバンに斬りかかった。
(速い!)
今度は2人の戦いを見守る兵士達の心臓がバクバクになった。
両肩のスラスターを起動させたハドラーちゃんの突撃が速過ぎたからだ。もしこれが攻撃であったら……兵士達の頬を冷たい汗が伝う。
1度当たれば首が飛びかねない、覇者の剣の斬撃。
しかし、アバンも然る者。ハドラーちゃんのスピードを逆手に取り、ハドラーちゃんの勢いを上手く使って捌いてゆく。
「凄い……アバンの奴が、あんなにちょこまかすばしっこかったなんて……」
「頑張れアバン!」
そんな中、アバンとハドラーちゃんの戦いを見守るフローラ王女は、昔の事を思い出していた。
(見たことがあるわ。かつてあんなアバンの顔を……)
それは3年前。
フローラ王女が好奇心にかられて1人で城外に遊びに行ったまでは良かったが、
「キャアアア!」
運悪くマンイーターに襲われて食われそうになったが、そこで出逢ったアバンによって救われた。
それを切っ掛けに、フローラ王女はアバンをカール騎士団に推薦した。
が、アバンは「能ある鷹は爪を隠す」を体現するかの如く、雑用や料理に専念して武術の才能が全く無いかの様に振舞った。
「申し訳ありません姫。しかし私も騎士団のはしくれ、有事の際にはすべての力をふるい姫とカールのために戦います」
「解りました。貴方の事は私の胸の内だけに閉まって擱きましょう」
そして……
アバンが本気を出さなければならない有事が何なのかを知る者……大魔王バーンの危険性とアバンの使徒の重要性を良く知る者がカール王国の前に姿を現したので
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