第八十一話 甲子園へその十
[8]前話 [2]次話
「楽しむものよ」
「そうなのね」
「悲観することはね」
「ないのね」
「全くね、悲観なんてしたら」
それこそというのだ。
「はじまらないわよ」
「そうなのね」
「そうよ、しかし巨人は弱くなったわね」
「お母さんが学生の頃まだ強かったのよね」
「ええ、まだね」
母は一華に自分の若い頃の巨人の話をした、かつての巨人は球界の盟主と自称して何度も日本一になっているのだ。
「あのチームはね」
「強くて」
「それでね」
「何度も日本一になって」
一華もこのことを話した。
「九連覇とか」
「お母さんが子供の頃の前よ」
「九連覇したのは」
「それ長嶋さんとか王さんの時代だから」
俗に二人の頭文字をとってONと呼ばれていた。
「前よ」
「長嶋さんね」
「あの人がいた頃がね」
「一番強かった時ね、巨人が」
「ええ、人気もね」
「凄かったのね」
「お祖父ちゃん達の頃は巨人軍大鵬卵焼きってね」
母は一華にこの言葉も出した。
「子供の好きなものはね」
「その三つだったの」
「そうだったのよ」
「いや、酷い時代だったのね」
一華はその言葉を聞いてこう言った。
「それはまた」
「あんた大鵬は知らないでしょ」
「力士さんよね」
母にこう返した。
「昔の」
「そのことは知ってるのね」
「けれどね」
それでもとだ、一華は言葉を返した。
「私別にお相撲は興味ないから」
「大鵬っていっても」
「知ってるの名前だけよ」
「物凄く強かったのよ」
「それで人気あったの」
「お祖父ちゃんが子供の頃はね」
「そうだったのね」
「そうだったのよ」
こう娘に話した。
「大鵬もね」
「昭和の中頃よね」
「お祖父ちゃんが子供の頃ってね」
「テレビ白黒よね」
「そうよ」
母はその通りだと答えた。
「それで卵高くて」
「それで卵焼きご馳走だったの」
「それで人気があったの」
「卵焼きは私も好きだけれどね」
一華はそれはと答えた。
「ちゃんとね」
「そうよね、目玉焼きも好きで」
「オムレツもね」
「卵焼きもね」
こちらもというのだ。
「好きよ」
「そうよね」
「ご飯にもお酒にも合うし」
「うちでもよく作るわね」
「お相撲興味なくて大鵬はそれで、で」
「卵焼きは好きで」
「巨人大嫌いなんだけれど」
一華ははっきりと言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ