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ドリトル先生と桜島
第三幕その八

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「室町幕府は京都に拠点を置いたからね」
「それで朝廷とも距離が近かったんだよね」
「将軍様もかなりお公家さんと親しくて」
「お公家さんみたいな恰好になって」
「一緒に遊んだりしていたね」
「関東は鎌倉公方をもうけて」
 そうしてというのです。
「統治していたけれどね」
「やっぱり関西の比重大きい?」
「室町時代も」
「そうなる?」
「織田信長さんも豊臣秀吉さんも中心はそっちだったからね」
 この人達もというのです。
「江戸幕府でも関東と関西は総合的に見て同じ位だったし」
「本当にずっとだったんだね」
「関西は日本の中心だったんだね」
「それで豊かで」
「石高も凄かったんだね」
「そうだよ、その関西の今で言う府県と比べたら」
 それこそというのです。
「鹿児島県はね」
「大変だったんだね」
「土地が痩せていて」
「火山灰のせいで」
「お米もあまり採れなかったし」
 日本の主食のこちらがというのです。
「他の作物もね」
「火山灰が多くて」
「しかも始終降り続けてるし」
「それじゃあね」
「農業は大変だったね」
「だから薩摩藩で四十万石なくて」
 三十八万石程だったというのです。
「そこでやり繰りしていたんだ」
「それで八十万石近くとされて」
「その格式で政治をしないといけなくて」
「尚且つお侍さんが多くて」
「他の藩に比べてかなり」
「大変だったよ、その中で薩摩芋が入って」 
 この作物がというのです。
「かなり助かったよ」
「成程ね」
「薩摩芋は鹿児島の人達にとって救世主だったんだね」
「痩せた土地でも沢山採れるから」
「いいよね」
「そうだよ」 
 まさにというのです。
「江戸時代の中頃にもたらされたけれどね」
「確か青木昆陽さんだったね」
「江戸時代の蘭学者の」
「あの人が広めたのよね」
「あの人は凄い功績があるんだ」
 先生は強い言葉で言いました。
「その薩摩芋を広めたね」
「それが凄いよね」
「だって沢山の人が薩摩芋を食べたからね」
「それで餓えから救われて」
「美味しい思いもしたしね」
「だからだよ」
 それ故にというのです。
「蘭学者としても当時有名だったにしても」
「凄い功績だよね」
「つくづくね」
「沢山の人を餓えから救うなんて」
「素晴らしいことだよ」
「それを認めたのが当時の将軍様だよ」
 先生はその人のお話もしました。
「徳川吉宗さんなんだ」
「八代将軍だね」
「暴れん坊将軍よね」
「時代劇の主役でもある」
「あの人よね」
「あの人はやっぱり名君だよ」
 先生は確かな声でお話しました。
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