第三幕その十
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「あたるならね」
「毒があって」
「やっぱりね」
どうしてもというのです。
「食べられないよ」
「それは仕方ないですね」
「河豚の何処に毒があるかわかっていたら」
それならというのです。
「そこを切り取って食べるんだけれど」
「難しいですよね」
「あたし達の頃はそれが出来る料理人さんも少なかったしね」
このこともあってというのです。
「どうしてもだよ」
「河豚は食べなかったんですね」
「あたし達はね」
「しかし今は違うぞ」
またです、秀吉さんは楽しそうに笑ってお話しました。
「その河豚もな」
「召し上がられますか」
「うむ、だからな」
「お昼はですね」
「あの河豚の模型が看板の店に行ってじゃ」
そうしてというのです。
「食うか」
「そうしますか」
「是非な、どうじゃ」
「ほっほっほ、よいことじゃ」
リンキティンク王は秀吉さんのお話を聞いて笑顔で応えました。
「ではのう」
「お昼はじゃ」
「河豚にしようぞ」
「鍋にじゃ」
河豚のというのです。
「唐揚げ、酢のものにな」
「お刺身じゃな」
「左様、てっさをな」
「それもじゃな」
「皆で食おうぞ」
「いいのう」
「最後は雑炊でな」
これも食べようというのです。
「お鍋のだしを使ってな」
「ほっほっほ、それも最高じゃ」
「そうであるな、ただじゃ」
「どうしたのじゃ?」
「どうして河豚のお刺身をてっさと呼ぶじゃ」
リンキティンク王は和菓子を食べつつ首を傾げさせて尋ねました。
「それがわからん」
「外の世界の大阪では河豚を鉄砲と呼ぶのじゃ」
「武器のか」
「うむ、あたると死ぬからな」
「外の世界では命があるものは死ぬからのう」
「必ずな、そしてじゃ」
秀吉さんはさらにお話します。
「河豚を鉄砲と呼んでじゃ」
「てっさもか」
「鉄砲のお刺身だからじゃ」
そうなるからだというのです。
「てっさとじゃ」
「呼ぶのじゃな」
「そういうことじゃ」
「成程のう」
「それでそのじゃ」
「てっさもじゃな」
「食しようぞ」
皆でというのです。
「是非な」
「うむ、ではお昼は」
「まずは街に行こうぞ、ねねも来るな」
「勿論だよ、お前さん街に出たらすぐに可愛い娘にでれでれするんだから」
「ははは、だからか」
「心配だからね」
女の子達にでれでれしてというのです。
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