第二十一話 哀愛その十二
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「東京のね」
「言うならここは東京の玄関ですね」
空汰は昴流の話を受けて言った。
「正門と」
「そう、門はね」
「それ自体が結界になることもあります」
「特に正門はね」
「平安時代の羅生門とか」
「あの門にも色々と逸話があるね」
「あの門の上にはよおさんの死体があるとか」
空汰はある小説のことを思い出して話した。
「鬼が出るとか」
「そうだね、言うならね」
「東京駅は羅生門ですね」
「今の東京のね」
「そやから結界ですね」
「他には井の頭公園に」
そこにというのだ。
「中野サンプラザやサンシャイン六十もで」
「そうしたところもですね」
「レインボーブリッジも銀座の時計台も」
こうした場所もというのだ。
「僕達がこれから行く議事堂そして都庁もね」
「天の龍と地の龍のそれぞれの拠点もですね」
「結界でね」
この東京のというのだ。靖国神社、高層ビル群に山の手線も」
「そうした場所もで」
「皇居もそうだし」
山の手線の中にあるこの場所もというのだ。
「何と言っても東京タワーだよ」
「あそこですか」
「あの塔はこの東京最大のだよ」
「結界ですか」
「東京タワーが崩れれば」
その時はというと。
「もうこの世界はね」
「終わりですか」
「人間は」
「最後の最後まで壊れないけれど」
東京タワー、この結界はというのだ。
「それでもね」
「あの塔が崩れれば」
「その時は」
「人間は終わるよ」
そうなるというのだ。
「その時にね」
「ではです」
その東京タワーの方を見てだ、嵐は昴流に話した。
「私達は」
「そう、最後の最後はね」
「東京タワーをですね」
「守る必要があるよ」
「そうですね」
「最後の一人になっても」
天の龍がというのだ。
「それでもね」
「他の結界が壊れても」
「あの塔を壊させてはならないよ」
「最後の最後の結界だからこそ」
「そうだよ、では今はね」
昴流はあらためて言った。
「議事堂にね」
「行きましょか」
「これから」
「そうしようね、迎えに来てもらってこう言うのは図々しいと思うけれど」
自分が先導する様に言うことはというのだ。
「そうしよう」
「あっ、それはええです」
空汰は昴流の今の話には笑って返した。
「やっぱりです」
「昴流さんは年長の方で私達より長く東京におられるので」
嵐も言ってきた。
「ですから」
「いいんだね」
「はい、そのことはです」
「お気遣いなくです」
「そう言ってくれるんだね、それじゃあ」
二人にも応えてだった、昴流は。
笑顔になりそのうえで今は二人と共に東京駅から議事堂に向かった。その頃??は颯姫と共にだった。
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