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第二十一話 哀愛その五

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「それはな」
「いい組み合わせと思うかしら」
「今まで考えたことがなかったが」
 こう火煉に答えた。
「しかしいいというのならな」
「飲んでみたいわね」
「食ってな」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「してみていいわよ、ただ飲み過ぎにはね」
「注意だな」
「お酒だからね」
「そうだな、そこはな」
 神威もそれはと応えた。
「わかっているつもりだ、俺も」
「そうしてね」
「是非な、ドーナツにも合うか」
「そう、合うのよ」
 赤ワインはとだ、火煉は即座に答えた。
「これがね」
「ならな」
「一緒に楽しんでね。買って帰って」
「そこでだな」
「食べてもいいし」 
 そうしてもというのだ。
「一度ね」
「そうしてみる」
 こう答えてだった。
 神威はこの時はドーナツと紅茶を楽しんだ、そして。
 この頃皇昴流は空汰と嵐が目指す宿場町だった古い町並みが並ぶそこにいた。そうしてその中を歩き。
 地蔵が並ぶ中を過ぎ古い日本の町中を進み。
 風車が売られている寂れた店を横切ったその時にだった。
 また地蔵達を横に見てだ、気付いた顔になり。
 陰陽道の札を出しそれを白い小鳥の式神に変えて飛ばし。
 空にやると小鳥は何かに当たって消えた。すると昴流は風車の店の傍にいた。それでそこからであった。
 咲に進みある家に入りだ、そこで初老の着物の女に挨拶をした。
「遅くなりました」
「いえ、丁度ですが」
「約束の時間のですか」
「はい、まさに」
「それならよかったのですが」
「そうですので。では」
「はい、これよりです」
 昴流は女にあらためて言った。
「娘さんにお会いさせてもらいます」
「宜しくお願いします」
「それで、ですね」
「娘を救って下さい」
「そうさせて頂きます」 
 女に応えてだった。
 昴流は家に上げてもらった、そこからだった。 
 ある部屋に案内されてだ、そのうえで。 
 見事な様々な花が描かれた色彩豊かな長い黒髪の美しい少女が恍惚とした表情で座っている和室に案内されてだった。
 そこで少女を診させてもらってだ、女に答えた。
「明らかにです」
「憑かれていますか」
「お話は聞かせてもらいましたが」 
 昴流は少女と正対して正座しつつ女に行った。
「この方の恋人は」
「三ヶ月前に事故で」
「そうしてですね」
「残された娘は心を壊し」
「その方をあまりにも愛されていたので」
「生涯を添い遂げようと」
 その様にというのだ。
「常に言っていた位に」
「そうだったのですね」
「そうですが」
 それがというのだ。
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