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仮面ライダーAP
暗闘編 ヘレン・アーヴィングという女 後編
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る。

「す、すっげぇ……! なんつぅ威力の蹴りだよ……! アイツの首をへし折っちまうなんて……!」
「……あの姉ちゃんの方が、よっぽどバケモンじゃねぇか。へっ、心配して損したぜ」

 そんな彼女がこの一瞬で見せ付けた、鮮やかな蹴り技と威力。そして臆することなく改造人間にも立ち向かう勇気に、周囲の警察官達は息を呑み、畏敬の眼差しを向けていた。当初はヘレンに対して懐疑的な視線を向けていた警部も、「仲間」の無事に安堵して頬を緩めている。

 当初は彼女が現場に現れた時から、仕事終わりに連絡先を聞き出そうと狙っていた警部達だが、今となっては誰もそんなことは考えられなくなっていた。下手な真似をすればあの蹴りが飛んで来る。そのリスクを承知で強引に迫れる度胸など、並の人間にあるはずもない。

 掌には到底収まり切らない豊穣な爆乳に、安産が確約されている極大の巨尻。雄の本能を挑発する妖艶な唇に、濡れそぼった蒼い瞳。そして雪のように白く、きめ細やかな柔肌。あの美貌と肉体を手に入れられる男が居るとしたら、心底羨ましい。妬ましい。それが警部達のシンプルな感想だった。

「……」

 一方、警察官達を守るためとはいえ生き残りの戦闘員を殺害してしまったヘレンは、最適解とは言えない自身の行いを悔いている。自嘲の笑みを溢して俯く彼女の貌は、戦いを制した「勝者」のそれではなかった。

(咄嗟のこと、とはいえ……重要参考人を殺害してしまった。捜査官失格ね、私)

 まともに対話が成り立つ状態ではなかったとはいえ、この件の重要参考人となり得る唯一の生き残りを始末してしまったのだ。これで完全に、真相を究明するための手掛かりを失ってしまった。
 警察官達を守るための判断そのものに後悔は無い。だがそれでも、「もっと上手くやれたのではないか」という悔いが頭から離れないのだ。

(……これで一件落着。だけどやっぱり……あなたのようには行かないわね)

 ふと、脳裏を過ぎるのは――かつての同僚にして親友、そして師匠のような存在だった先任捜査官。彼女ならば、もっと効率的に対処することが出来たのではないか。そう思わずにはいられなかった。

 真凛が対策室を去ってから、約1ヶ月。ヘレンは彼女に代わってノバシェード関連の捜査に没頭し続けていたが、1日たりとも彼女を忘れたことは無かった。師匠であり、先輩であり、同僚であり、姉のような存在でもあった唯一無二の親友。そんなかけがえのない存在を、忘れられるはずがないのだ。
 せめて彼女の分まで、特務捜査官としての務めを全うしたい。その思いを胸に事件を追う日々を過ごしているが、やはり「彼女が居れば」という気持ちを捨てることは出来ずにいる。

「……泣けるわ」

 今回の耐久性特化型戦闘員も、彼女ならば死なない程度に
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