暗闘編 ヘレン・アーヴィングという女 前編
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、この国に入国していた可能性に繋がる痕跡は残っていなかった。オルバスこと忠義を含む、悪魔の力を秘めた影のライダー達ですら、今回の爆発事件には関与していなかったのである。
であれば、警部の言う通り構成員同士の内紛が原因だったのか。3名の首領格を欠き、彼らに代わる指導者も確立されていない今のノバシェードならば、それもあり得るのかも知れない。
だが、ヘレンの胸中には未だに強い違和感が残されている。それが真相だと断じるには、まだ早い。そんな根拠のない直感が、彼女の胸の内に強く引っ掛かっている。
「う、うわぁあぁぁあっ! な、なんだこいつぅううっ!?」
「……!?」
――その時だった。警部が踵を返し、歩き去った方向から悲鳴と怒号、そして銃声が響いて来る。ヘレンはハッと顔を上げると腰のホルスターから拳銃を引き抜き、素早くその場から駆け出していた。緊張に汗ばむ肉体から淫らな雌の匂いが漂い、特大の乳房と桃尻がばるんばるんと揺れ動く。
「ウグァ、アァッ、アァオオオッ……!」
「ひ、ひぃいっ! こ、こいつ明らかにイカれてるっ! 間違いねぇ、こいつ怪人だぞっ!」
「まっ……まさか、本当にここはノバシェードのアジトだったのかぁあ!」
この現場で起きた異変の発生源。それは、瓦礫で塞がっていたアジトの入り口であった。
崩れた岩石の隙間から這い出て来た瀕死の戦闘員が、改造人間としての最後の力を振り絞り、警察官達に襲い掛かっていたのである。地獄の底から甦った悪魔のような唸り声が、その一帯に響き渡っていた。
「ヨクモ、ヨクモオレタチヲ……! コロシ、テヤル……! コロシテヤルゥウッ……!」
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