暗闘編 ヘレン・アーヴィングという女 前編
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。英雄の喪失による国の不安に付け込まれた結果、このような事態に繋がってしまったのだとヘレンは推測する。
(……「仮面ライダー」の仕業、か……)
かつての英雄の名を呟きながら、この場から立ち去って行く警部。そんな彼の背中を見送ったヘレンは、何か思うところがあったのか――数少ない遺留品であるネジに視線を落とし、独り目を細めている。
彼女の脳裏には新世代ライダー達ではなく、その枠に居ない「悪魔の力を持つ仮面ライダー」達の存在が過っていた。
(「仮面ライダーオルバス」こと、忠義・ウェルフリット。彼と同じ「悪魔」の力を持ったジャスティアライダー達なら、アジト一つを潰すことなんて容易いのかも知れない。けど、彼らがこの国に入国していた形跡も見つかっていない……)
自我を持つ「コア」を搭載した、特殊な変身ベルト「ジャスティアドライバー」。そのベルトに選ばれた適合者は、新世代ライダーの一員である「仮面ライダーオルバス」こと忠義・ウェルフリット独りではない。ソロモンの悪魔に近しい名を冠した仮面ライダーは、彼の他に何人も居る。
22名の新世代ライダー達とは異なる枠組みで活動している適合者達――「ジャスティアライダー」。彼らは忠義とは違い、各国政府や警察機関との連携を前提にしておらず、「独自のやり方」でノバシェードを追撃している。さらに目的はおろか、ライダーになる前の素性すら不明な者もいるらしい。
大衆からヒーローとして称賛されている新世代ライダー達とは違い、アウトローな手段も辞さない「影」のライダー。そんな彼らの詳細な動向はノバシェード対策室ですら完全には掴めておらず、ヘレン達は毎度のように彼らが戦った後の事後処理に追われているのだ。
そのため対策室本部の室長達からは、ある意味ノバシェード以上に厄介な存在だとも言われていた。番場惣太の管轄下ではないジャスティアライダー達の動きは非常に読みづらく、彼らにとっても悩みの種なのだろう。
天才女性科学者・一光博士によって開発された72機のうち、幾つかのドライバーはすでに適合者達の手に渡っており、彼らは各々の「やり方」で各地のノバシェードを打倒している。決して清廉とは言えない彼らの「やり方」を危険視する各国政府からは苦情の声が絶えないようだが、光はその悉くをのらりくらりとかわしているようだ。
彼女としてはドライバーの運用データ収集が最優先であり、ジャスティアライダー達の素行を制御するつもりなどないのだろう。新世代ライダー以上に活動内容を疑問視されやすい彼らのうちの誰かなら、この山地をアジトごと吹き飛ばすくらいのことはしていても不思議ではない。
だが、2020年現在の時点で存在が確認されているジャスティアライダー達が
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