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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第156話:知られざる父の姿
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 空港でS.O.N.G.と対峙し、そして姿を消したサンジェルマン。彼女が今居るのは、海辺に建てられた一件の館の一室であった。

 外では燦然と輝く太陽が砂浜に打ち寄せる波を照らしていると言うのに、彼女は部屋のカーテンを閉め照明も消している。暗い室内を蝋燭の小さな灯だけで照らした、彼女の前にはベッドの上に横たわった1体の人形が居た。それは結晶から取り出されてはいるが、バルベルデのオペラハウスの地下から持ち出された物に他ならない。

 物言わぬ人形の胸部に、サンジェルマンは嘗て颯人達の目を盗んで客船から持ち出した古代の歯車を錬金術を使って取り付けた。

「ティキは……惑星の運行を星図と記録する為に作られたオートスコアラー。機密保護の為に休眠状態となっていても、アンティキティラの歯車により再起動し、ここに目覚める……!」

 発掘された化石の様に余計な岩石を取り除かれた遺物・アンティキティラの歯車は、サンジェルマンの錬金術により動き出しティキと呼ばれた人形の胸部に空いたスペースにすっぽりと収まった。そして歯車が収まると、開かれていたティキの胸部が閉まり蓋をされる。
 するとティキの頭部のバイザーから単眼の様な部位が分離し、天井にプラネタリウムの様に星図を映し出した。星図の傍には時計の様な物も存在し、それが早回しの様に動くと投影された星図も目まぐるしく動く。

 数秒ほど時計と星図が動くと、投影されていたものは消え分離していたパーツもバイザー部分に装着される。

 バイザーが元の形に戻ると、ティキは動き出し糸で吊り下げられた人形のような動きで上半身を起き上がらせた。

「ぅ……ぅ…………」

 壊れたブリキ人形の様な諤々とした動きで起き上がるティキ。一見すると不具合が起きているように見えなくもないが、これは長年休眠状態だったのが再起動したが故の事。事実、起き上がったティキは自分の手で被っていたバイザーを外し、その時には嘗てキャロルが使役していたオートスコアラーと何ら変わりない、人間と見紛うような動きをしてみせた。

「……ふぅ」
「久し振りね……ティキ」

 実に約400年ぶりの再会となるのに、サンジェルマンは特に感慨に浸るとかそう言った様子は見せない。飽く迄事務的に、だが同時に何処か懐かしむように声を掛けた。
 声を掛けられたティキは一瞬記憶の糸を手繰っているかのような顔で数度瞬きしたが、相手がよく知るサンジェルマンだと分かると大袈裟な身振り手振りを交えて再会を喜んだような仕草を見せた。

「! サンジェルマン? あ〜、400年近く経過しても、サンジェルマンはサンジェルマンのままなのね?」
「そうよ。時は移ろうとも何も変わってないわ」
「つまり、今もまだ人類を支配の(くびき)から解き放つ為とかナントカ、辛気
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