第二部 1978年
歪んだ冷戦構造
F5採用騒動 その2
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の友、彩峰にも覆いえないものが今日はみえるが、榊の方はもっと正直に興奮していた。
「木原君、遊ぶなとは言わんが……」
と、途方に暮れたように、マサキを笑った。
「シュタインホフ将軍の孫娘、キルケ嬢の件と言い、少しはわきまえるべきじゃないのか」
「……ち」
マサキは唇を鳴らした。
ミラの名前を出しただけで、これである。
思い人のアイリスディーナの場合はどうだろうか。見てはいられない。
「貴様にそんな質問をする権利は、あるまい」
と、明答した。
だが、ひとり彩峰は、マサキの落胆の色を、烈しい鞭のような眼つきでにらんだ。
マサキのもろい一面を、彼は知り抜いていたからだろう。
マサキの意志のくずれを怖れたのだ。
マサキは硬めていた体をほぐして胸を上げた。
そして面には微笑に似たものをもって、あわれむような眼差しをじっと凝こらして、
「キルケの件は……なんの、いらぬ斟酌だ」
と、判然と応じ、
「宴の席ゆえ、少々常より酒の過ぎたまでのことよ」
そして大臣のうなずきを見るなり、すぐ部屋を後にした。
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