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冥王来訪
第二部 1978年
歪んだ冷戦構造
F5採用騒動 その2
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ライマー建造と違って役に立たないんだろう」
 人を吸いこむような柔らかい顔でいながら、マサキは諧謔(かいぎゃく)(ろう)していた。
ぐっと、みな息をつめ、そしてどの顔にも、青味が走った。
「木原。貴様、脇から口をはさむとは何事だ」
 ちらと、マサキも眼のすみで彩峰のそれを射返した。
小癪(こしゃく)なと、すこし不快にとったようだった。
「技師としての率直な意見を聞きたい。つづけたまえ」
ほとんど無表情にちかい大臣のつぶやきだった。


「金も時間も無駄にするような話はお終いにする。そういう事さ」
と、マサキは言いつづける。
「だが、ミサイルとロケットランチャーに関しては俺は有益と思っている。
開発中の新型機F14にだけではなく、F4やその系列機にハードポイントを追加して、使える様にすればいいだけだ」
左右の側近たちは、ぎょッと顔から顔へ明らかなうろたえを表に出した。
「まず、ミサイル運用の前提として燃料タンクの巨大化。
そして、コックピットの複座とシステムの問題がある」
大臣は、なんども頷いて聞きすました。
「燃料タンクは増槽を付ければいい。
それにシステムはグレートゼオライマーに搭載予定のスーパーコンピューターの簡易版を乗せればいい」
俄然、榊の調子も、するどく変って来て。
「スーパーコンピューター?」
「そうだな。グレートゼオライマーだから、GZコンピューターと名付けよう。
様々な記憶や情報収集を兼ね備えた制御装置で、俺の指示で自立走行可能なシステムの事さ。
こいつがあれば、その超強力なミサイルどころか、空母への離陸着艦も容易になる」
 
 GZコンピューターと呼んではいるが何のことはない。
美久に搭載された推論型AIの簡易版である。
マサキとしては、このAIをもってして、ファントムやサンダーボルトに搭載し、月面偵察の際に使おうと考えていたのだ。

「GZコンピューターが完成すれば、今までのような人的被害は最小に抑えることが出来る。
ただし、BETAの妨害工作に関してどれほど有用か、未知数だがな」

「一応、その簡易版なら、俺が8インチのフロッピーディスク20枚に焼いておいた。
それを戦術機のコンピューターに差し込めば、変わるはずさ」
その話を聞いて、大臣は腰が抜けそうになった。
「どうやって、そんな情報量を圧縮したのだね」
「これも、次元連結システムのちょっとした応用さ」



「なあ、貴様らがほめそやすミラとやらに、会ってみたくなった」
 彩峰は、冷たい肌を這う油のような汗を覚えた。
あの貴公子、篁は、そんなことをマサキの耳に入れていたのか。憤怒の気持ちがくすぶる。
「深窓の令嬢の次は、人妻にちょっかいを出そうというのか。
放蕩三昧もいい加減にしろ」
竹馬
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