暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
希望じゃない
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
庇うように、ハルトはその前に立つ。

「少しは懲りたらどうなの? アンタがキュゥべえたちの口車に乗らなければ、こんなことにはならなかったんじゃない?」
「あいにく、僕は誰かに縛られはしない。僕は常に、自分の望みのために動いているのさ」
「……結局、アンタもそういう口か」

 ハルトはウィザーソードガンの銃口を海東に向けた。
 同時に、海東もハルトの銃口に応じるように、ディエンドライバーを突き出す。

「僕に銃口を向ける意味、分かっているのかな?」
「ああ」
「僕の見立てでは、君は戦いに反対派だと思っていたよ? 聖杯戦争に限らず、願いをかけたバトルロワイアルには、大体一人はいるんだよ。戦いを止めたいという参加者が。城戸真司をサーヴァントにしているくらいだし」
「戦いは止めたいよ。でも俺は、そのために全員が仲良しこよしにできるとは思ってない」

 その手にした銃の引き金に力を入れられる。少しでも海東が変な動きをすれば撃つと、全身で語っていた。

誰か(大勢の人々)を守るためだったら、俺は参加者と戦える。それに準ずる危険な奴でもね。たとえその命や願いを奪うことになるとしても、俺はやるよ」
「驚いた。そのためなら、参加者の命を奪うことも厭わないと」
「……そうだよ」
「ハルト……」

 背後で、真司がハルトへ複雑な視線を送っている。
 それを受けながらもハルトは、決して彼を振り返ることはしない。彼が、ハルトとは違うスタンスだということは分かっている。

「真司。俺は、アンタほど優しくなれない。もう二人、参加者の命を奪ってる。多くの人々を守るためにも、俺は止まれないんだ」
「へえ。ウィザード……希望の魔法使いの言葉とは思えないね」

 海東は一度、ディエンドライバ―を回転させ、また銃口の照準をハルトに当てる。
 ハルトは一切ウィザーソードガンを動かさずに答えた。

「俺は希望の魔法使いなんかじゃない。人を守るために、もう手段を選んでなんていられない。アンタが宝探しをするのは勝手だよ。でもそのせいで、聖杯戦争を掻きまわして、誰かが傷つくなら、俺は全力でアンタを倒す」

 ハルトがそう吐き捨てたその時。
 地面に、無数の銃弾が炸裂する。
 ハルトと海東、そして真司は、同時によろめく。
 その銃弾を放ったのは。

「おや。嬉しいね。僕を追いかけてきてくれたのかい、士?」

 手を広げて歓迎する海東の視線の先。
 ライドブッカーを銃の形にして歩いてきている、士がそこにはいた。

「もう追いついてきたのか……!」

 アマダムの洗脳は解けていないのであろう士。彼は歩調を変えず、海東に接近。
 喜ぶ海東だったが、士は何も言わずに海東の頬を殴打。転がった海東は、砂利の音を立てながら士を見上
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ