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星河の覇皇
第八十四部第一章 梟雄の復活その三十七

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「そうしていた、そして項羽にはな」
「負けてばかりでしたね」
「漢中から旗揚げし関中を手に入れてです」
「そこから項羽の本拠地を攻めましたが」
「そこからは」
 項羽の拠点である彭城を占拠した、ここまではよかったのだ。
「五十六万の大軍を擁していましたが」
「そこですっかり油断しました」
「お祭り騒ぎとなり」
 その五十六万の軍全体がだ。
「すっかり油断していた時にです」
「報告を受けた項羽が三万の軍勢を率いて急行し」
「散々に打ち破られました」
「五十六万の大軍が各個撃破され粉砕されました」
「歴史上稀に見る敗北でした」
 あまりにも凄まじい敗北でこれが一敗地にまみれるという言葉のもとにもなった。とかく凄まじい敗北だった。
「そして先程のお話ですが」
「そこから劉邦は敗北を続けました」
「項羽と勝てば必ず敗れました」
「兵はありましたが」 
 そして物資もだ、そういったものは後ろを治めていた蕭何が常に送ってきていた。
「しかしです」
「戦えばとかくです」
「常に敗れていました」
「そうした状況でした」
「そうした風だった、だが」
 サルマーンはその劉邦について話した。
「最後のまさに一戦でな」
「項羽に勝った」
「そして覇者になった」
「そうでしたね」
「ナポレオンも然りだ、ロシア遠征まではまさに覇者だった」 
 欧州、この地域のというのだ。
「まさに絶対の英雄だった、だが」
「それが、でしたね」
「ロシア遠征で惨敗し」
「そこからは、でしたね」
「まさに真っ逆さまに転落し」
「皇帝の座から落ちました」
「先にスペインで手間取っていたが」
 サルマーンはこの話もした。
「やはりな」
「ロシア遠征ですね」
「あの遠征が転機でしたね」
「どうしても」
「ナポレオンは」
「そうだ、そしてだ」
 そこからだというのだ。
「惨めな敗北をしてだ」
「そうしてでしたね」
「その結果でしたね」
「権威は失墜し」
「そこからは」
「ライプチヒで敗れてだ」
 そしてだったのだ。
「エルバ島に流されてな」
「そこから戻ってきても」
「百日天下で終わり」
「そうしてでしたね」
「その後は」
「セント=ヘレナ島に流されてだ」
 まさに絶海の孤島と呼ばれたその島にだ。
「そして人生を終えた」
「そうでしたね」
「左様でしたね」
「そうなりましたね」
「我々は」
「そうなりましたね」
「英雄もだ」
 風雲児、そう言ってもよかった者がというのだ。ナポレオンは確かに一つの時代を築いた風雲児であった。
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