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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)
別世界よりE
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<グランバニア>

のどかな昼下がり、グランバニアの城下町を1人の少女と1体のアークデーモンが歩いている。
他の町でアークデーモンが闊歩していれば、皆が恐れ逃げ出すであろうが、この国の城下でそれはない。
むしろ一緒に居る少女にこそ、周囲の人々は興味があるのだ。

何故ならば…似ているからである!
紫のターバンを巻きマントを羽織り、その瞳は全ての者を魅了する…
リュカ国王陛下とそっくりなのだ!


今でこそ彼女の事を知らぬ者はこの城下に居ないのだが、初めて彼女の事を見た時の人々の反応は凄い物だった。
遠慮がちに近付き、躊躇いがちに尋ねる…
「あ、あの…貴女はリュカ様と…その…ご関係がおありで?」
良く考えれば失礼な質問なのだが、少女は気分を害した風もなく答えた。
「はい、私はリュリュ。リュカ陛下の娘です!」
人々の間に響きが沸き起こり、瞬く間にリュリュを中心とした人集りが出来る。

そしてリュリュは、周囲の状況を気にすることなく、更なる言葉を続ける。
「父のリュカ陛下が現在行方不明の為、私が代理で女王をやってます。国民の皆様には色々とご迷惑をお掛けしますが、一生懸命頑張りますので、お父さんが戻るまで間よろしくお願いします!」
他の国ではあり得ない事だ!
王族が…それも女王が国民の前に姿を晒し、自身の非力さを認め、向上を誓い、頭を下げるなどという事は!

この場にいた人々の心に、リュリュは信頼を植え付ける事が出来たのだ。
リュカの様に大きく生活レベルの向上が出来なくとも…
リュカの様に明確な未来のグランバニアを示せなくとも…
リュリュは人々から歓喜の声で迎えられるのだ!


その日の内にリュリュの事は、広大な城下中に知れ渡った。
数週間後には、グランバニアの僻地にある片田舎にまで噂は届いた。
その事を聞いたポピーは呟いた…
「人々を惑わす魔性の女…お父さんの様にワザとふざけて見せて、『自分は欠点のある人間』と知らせないと、世界中が妄信的に平伏す事になるわ…」
何故リュリュが人々の前に姿を晒したのかを説明しよう。
最大の要因はポピーの一言なのだから…


リュリュは自他共に認める『お飾り女王』だ。
王族としての教育は受けておらず、政に対しても無知であり、リュカ似という圧倒的なカリスマ性のみが彼女を女王へと押し上げているのだ。

そんなワケで午前の謁見が終了すると、城内にいてもやる事がない…
ポピーは王族としての教育を受けており、宰相として政務を行うし、オジロンも国務大臣としてだけでなく、政のスペシャリストとして政務に明け暮れる。
臨時女王に就いて最初の内は、城内の探索やピピン・ピエール等との剣術稽古で時間を潰せたのだが、数ヶ月という長期に渡ってやる事もなくなり、ピピン・ピエールの実
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