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神々の塔
第二十一話 六歌仙その十

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「そのうえでね」
「詠っていくことですか」
「そうしてね、では君達の健闘を六柱全員で祈って」
 こう言ってだ、業平だけでなく六歌仙全員がだった。
 それぞれ和歌を詠んだ、すると一行の周りに様々な花が咲き誇った。業平はその花達を見つつ一向に微笑んで話した。
「この花達を見せてあげるよ」
「四季のお花が咲き誇ってますね」
 綾乃はその花達を見て目を丸くさせて言った。
「まるで平安神宮の中にいるみたいです」
「ああ、あそこだね」
「あそこはいつもお花が咲き誇っていて」
「和歌もあるね」
「物凄く奇麗な場所ですけど」
「あの社を思い出すみたいな」
「そうしたです」
 まさにというのだ。
「めっちゃ奇麗な」
「そうした場所だね」
「そう思います」
 こう言うのだった。
「素敵な贈りもの有り難うございます」
「気に入ってくれたみたいで何よりだよ」
 見れば十人共笑顔になっている、それで言うのだった。
「ではね」
「はい、一旦宿屋に戻って気力と体力を回復させて」
「また進むね」
「そうさせてもらいます」
「ではね、先はまだまだ長いけれど」
「進んでいきます」
「応援してるよ」
 こう言うのだった、一行は花に暖かい言葉も受けてだった。
 そのうえで宿屋で気力と体力を回復させた、勿論風呂に入り勝利を祝う宴も楽しんだ。そうしてであった。
 一行は先に進んでいった、中里はその中でぽつりとした口調で言葉をだした。
「僕も和歌やってみよか」
「ええんちゃう?和歌はお侍さんもやで」
「詠ってたな」
「ほんま昔から」
「そやったな」 
 中里は綾乃のその言葉に頷いて述べた。
「実は」
「辞世の句も謡ったし」
「切腹する時とかな」
「連歌会もやってたし」
 戦の前に行うことも多かった、これを行うと戦に勝つということなのでゲン担ぎの意味もあったのである。
「明治から昭和の軍人さんも」
「和歌嗜んでたな」
「山縣有朋さんとか」
「そういえばあの人も和歌詠んでたな」
「それが趣味やったで」
「雅な趣味やな」
「この人も武士やったけど」
 長州藩の足軽出身である。
「槍術は免許皆伝で」
「滅茶苦茶強かったな」
 中里もこのことは知っている、毎食後槍の鍛錬を欠かさずかつ乾布摩擦も毎日行うという人物であった。
「それで和歌もやな」
「詠ってたんやで」
「それもかなりな」
「伊藤博文さんも漢詩詠ってるし」
「しかもかなりのもんやったらしいな」
「新選組の人等かて」
 彼等もというのだ。
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