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第二十話 外力その九

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「いやあ、本当にです」
「美味しいですか」
「その焼きそばは」
「そうなんですね」
「はい、ビールにもよく合います」
 飲んでみるとそうだった。
「これはいいです」
「そうですか」
「では僕達も頼みましょうか」
「そうしましょうか」
「お勧めです、ただ」
 遊人はジョッキを片手にこうも言った。
「一度大阪に行くのもいいかも知れないですね」
「ははは、そうですね」
「あちらに行くこともいいですね」
「お好み焼きやたこ焼きも食べて」
「楽しまれますね」
「串カツもありますしね」
 こちらのメニューも思い出して話した。
「あちらは」
「そうですよね」
「何かとありますよね、大阪は」
「美味しいものが一杯あって」
「いい街みたいですね」
「そう聞いていますので」
 ここでも彼のことを思い出しながら話した。
「是非です」
「行ってみたいですね」
「一度でも」
「新幹線で直通ですからね」
「数時間で行けますしね」
「そうですよね、ただ野球は」 
 遊人はビールのおかわりをしてからこちらの話もした。
「僕はヤクルトですからね」
「僕は横浜です」
「僕はロッテです」
「僕は西武です」
「それぞれ違いますね、阪神ではないですから」
 それでというのだ。
「そちらはどうでしょうね」
「まあ巨人じゃないといいですね」
「あちらは」
「何か随分アンチが多いそうですし」
「そのことを考えますと」
「ならいいですが。大阪からです」
 この街からというのだ。
「西宮まで行けば」
「はい、甲子園ですね」
「阪神の本拠地ですね」
「あちらになりますね」
「あの球場にも行ってみたいですね」 
 こうも言うのだった。
「大阪に行った時は」
「ええ、いい球場らしいですね」
「日本一の球場と言われるのは伊達でなくて」
「やっぱり違うらしいですね」
「他の球場とは」
 まさにというのだ。
「僕がよく行くのは神宮球場ですが」
「あの球場ですね」
「ヤクルトの本拠地の」
「麒飼さんが応援されているチームの」
「そちらのですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「それでよく行きます」
「ヤクルトもいいですよね」
「必死に頑張ってる感じで」
「しかも明るくて」
「お高く止まっていないですし」
「それがいいんですよね、観ていると応援したくなります」
 ビールを手にして同僚達に話した。
「あのチームは」
「全くですね」
「それではですね」
「麒飼さんはこれからもヤクルトですね」
「野球は」
「そうです」 
 まさにと言ってだった。
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