10月
第129話『開店』
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ね」
「そんなことないですよ! よく似合ってます! 自信持って下さい!」
「ふふ、ありがとうございます刻ちゃん」
謙遜する優菜を、刻は本心から褒め称える。実際、今の清楚系純白ドレス姿は、普段の制服姿と比べて何倍も可愛くなっている。男の子はもちろん、女の子目線でも見惚れてしまうくらいだ。そして、
「……今さらですけど、そんな美少女に名前で呼ばれるのってすごく嬉しいですね」
「そうですね。私も刻ちゃんにあだ名で呼んでもらえて嬉しいですよ」
「はぅ! 天使!」
頭脳明晰で眉目秀麗な美少女から仲良しの証である名前呼びまでされてしまったら、男子なら絶対に落ちていることだろう。
刻自身、彼女と友達以上の関係になるのも吝かではない。と、冗談はさておき。
「劇、絶対に成功させましょう!」
「もちろんです。お互い頑張りましょう」
こうして、2人はやる気を漲らせるのであった。
*
『それでは日城中文化祭、開催です!』
文化祭の幕開けを放送が告げる。
軽快なミュージックが流れ始め、まもなく生徒や招待された人々がぞろぞろと校内を回り始めた。
「1番テーブル、ホットケーキ2つ」
「了解!」
『男女逆転コスプレカフェ』という真新しさに惹かれてか、開店と同時にお客さんが入る。早速厨房での出番だが、気負う必要はない。いつも家でしているように作るだけだ。
ちなみに厨房というのは、教室の後ろに机を並べて設営しており、主にホットプレートを用いて調理を行う。
ホットケーキの他にはクレープやフレンチトーストなどのデザート、そしてランチ用にオムライスや焼きそばなんかも用意している。全部誰でもできるような簡単なものばかりだ。
「いらっしゃいませ!」
晴登が調理している一方で、元気良く声を上げるのは銀髪イケメン執事こと結月だ。
その集客力は凄まじく、日本人離れした容姿に惹かれてお店を訪れる人が続々とやって来る。
みんなが結月の魅力に気づいてくれるのは嬉しい反面、少し妬いてしまいそうになる。
そうして、1時間が過ぎた辺りだろうか。
やはり順風満帆とは行かないようで、トラブルが発生した。
晴登のいる厨房は教室の後ろだから、そこから教室全体を見渡せるようになっているのだが、3番のテーブルが何やら騒がしがった。
「ごめん、ちょっと離れる!」
「え、ちょっと!?」
調理を他の人に任せ、晴登はその事態を収拾するために動く。
文化祭期間中は先生がクラスに常駐している訳ではないので、トラブルは生徒たち自身が解決する他ない。
──例えば、お客さんが店員に過度な接触をしていたとか。
「お
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