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ぺーパーシャッフルD 〜両翼達、動く〜
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「……綱吉、もう波瑠加が6席分確保してるぞ」

「あ、そうなの? ごめん麻耶ちゃん、一緒に映画を見るのはまた今度で」

「そっか〜。残念だけど……まぁしょうがないよね」

「ほら、私達もチケット買いに行くわよ」

「うん……」

 

 残念そうな佐藤は、軽井沢に連れられてチケット売り場へと向かった。

 

「俺達も入……」

「つ! 綱吉君!」

「? 愛里ちゃんどうしたの?」

 

 俺が声をかけようとすると、愛里が大きめの声で綱吉に声をかけた。

 

「わ、私達も、中に入ろう?」

「うん、そうだね。清隆君、行こ……」

「ほ! ほらっ! 早く行こう!?」

 

 ??ガシッ!

 

 愛里が綱吉の腕を掴んで引っ張りはじめる。

 

「わわっ、愛里ちゃん。そんなに引っ張らなくても!」

「た、楽しみだね〜、新作映画〜!」

 

「……俺も行くか」

 

 ずんずんと中に進んで行く2人を、何とも言えない感情の俺も追いかけるのであった。

 

 

 

 ?? 映画館、シアター1 ??

 

 

 映画館の中は、ほとんどの席を埋め尽くされていた。

 

「……これ、佐藤達でもう満席だろうな」

 

 至る所からポップコーンやホットスナックの匂いが鼻腔をくすぐってくる。  

 

(ポップコーン……食ってみたいな)

 

 映画館に来るのも初めてだが、それよりもポップコーンの方が気になる。

 

「きよぽん、こっちだよ〜」

「! ……おう」

 

 

 最後尾座席の右端から波瑠加に呼び掛けられる。

 

 6人横並びで見れるように席を取ってくれていたようだ。

 

 俺は右から6番目の座席に座った。すると、3番目の席に座っていた波瑠加が何かを差し出してきた。

 

「はい、飲み物とお菓子。好きなの選んで?」

「え? いいのか?」

「うん、時間あったから全員分買っておいた」

 

 ナイスだ波瑠加。そしてお前はいい奴だな。

 俺が一応選べるように、自分は手を付けずに待っていてくれたようだ。おかげで2つも選択肢がある。

 

(塩味のポップコーンとキャラメル味のポップコーン……そしてコーラと烏龍茶か。ふむ、初めてだしここは王道を選ぶべきか?)

 

「じゃあ……塩味のポップコーンと烏龍茶をもらう」

「お、私の好きなのが残ったね。ラッキー♪」

 

 俺にポップコーンと烏龍茶を手渡すと、波瑠加ニコニコしながらコーラに口をつけた。

 
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