体育祭当日D 〜2つのピース〜
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……くそっ!」
「……それではダメですね」
「えっ!?」
背後からいきなり声を掛けられて思わず驚いてしまった。
「え、えっと君は確か……Aクラスの子だよね? 坂柳さんと一緒にいた……」
「はい……山村美紀と言います」
「山村さんね。えっと……それではダメってどう言う意味? 俺はただ精神統一を」
「今の心持ちでは死ぬ気になれない、そう言ったんです」
「!」
見知らぬ女子に見られた事で慌ててごまかそうとしたのに、まさかその相手が「死ぬ気」と発言するとは思わなかった。
「え? 今、死ぬ気って言った?」
「はい。言いましたよ、沢田さん」
「! 沢田さんって……も、もしかして君は!」
山村さんはニコリと笑うと、ジャージにポケットから藍色の匣を取り出した。
「え! それは匣!?」
「はい。ヴェルデに作ってもらった変装用の匣です」
「ヴェルデって……君はやっぱり!」
そう言うと、山村さんは筐にオレンジ色の炎を注入した。すると、匣から藍色の煙が出現して山村さんを包み込んだ。
そして煙が匣の中へと戻ると、後には頬に花弁の紋章がある女の子が立っていた。
「やっぱり、君がユニだったのか!」
「はい! お久しぶりですね、沢田さん」
「う、うん! 久しぶりだね。……で、今日はなんでここに? というか何で今正体を明かしたの?」
「沢田さんが間違った方法を取ろうとしているので。そしてそれを伝える為には本来の姿でないといけないからです」
「え?」
俺が間違ったやり方をしているって?
一体どこが間違っているのだろうか。
「どこが間違ってるのさ」
「心の中が怒りで満ちている所です」
「!」
冷静にやってたつもりだったけど、端から見たら怒っているように見えたのか?
そもそも、怒りは死ぬ気に対してプラスに働くはずじゃないの?
実際、怒りで炎のパワーだって上がるし。
「なんでそれがダメなの? 未来で白蘭を倒した時は怒りで満ち溢れてたと思うよ?」
「あれと今では根本が違います。あの時の沢田さんを突き動かしていたのは、白蘭に対する怒りではありません」
根本が違う? どういう事だ?
「……よく分からないよ」
理解に苦しむ俺に対し、ユニは微笑みながら俺の手を握った。
「思い出してください沢田さん、あの時の事を。未来での最終決戦の際、私達は死ぬ気で戦っていましたよね?」
「うん……」
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