体育祭当日D 〜2つのピース〜
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
じた事が心に響くのだろう。
「……お前は強ぇな」
「え?」
「そんな風に自分を客観的に見れてよ。そして反省までしてる。それはお前が強ぇ証だ」
「……そんな事はないわ。この考えだって、私が自分で見つけ出した訳じゃないもの」
「……じゃあ誰のおかげなんだよ」
「沢田君よ」
「!」
私がこんな考え方を出来るようになったのは沢田君のおかげだ。
入学当初、兄さんに拒絶されて絶望しかけていた私に言ってくれた沢田君の言葉は、今でも心に残っている。
『俺は信じてるよ! 堀北さんなら他人を信じられる強い人になれるって!』
『それに、堀北さんはDクラスで収まっていい人じゃない! 本当はAクラスにいるべき人だって事も信じてる!』
そして須藤君の事件の審議の時に、兄さんの前で発言する事に臆している私に掛けてくれたあの言葉も。
『ついでにお兄さんに見せてやろうよ! 堀北鈴音は優秀だって所をさ。前にも言ったけど、俺は堀北さんを信じてる。だから、堀北さんも自分の力を信じてあげて? 君は頭が良くて優秀な人なんだから』
私は何度も沢田君の言葉や優しさに救われてきた。
それは須藤君だって同じだろう。
「私は沢田君に何度も助けてもらったわ。それは須藤君、あなたも同じよね」
「……まあな」
「だから私は絶対に諦めないわ。兄さんに認めてもらう為に、恥ずかしくない人間になる為に努力する。隣で応援してくれる沢田君の気持ちに答える為にも」
「それは……きっとすげぇ苦しい道になるぜ?」
「そうね。簡単ではないわ。でも、今の私は仲間の力を借りる事を厭わない」
最近の私は、沢田君のようになりたいとも思うようになっている。
彼のように誰かの支えになったり、導いていけるような人間になりたいと。
そして、今の須藤君はあの時の私と同じ。理想と現実の食い違いに押しつぶされそうになっている。
だから……私が沢田君に差し伸べてもらったように、私も須藤君に手を差し伸べよう。
仲間がいる事がどれほど心強いのか、私は沢田君に教えてもらったから。
「須藤君、私にはあなたの助けが必要なの」
「……俺なんかじゃ、堀北に迷惑かけるだけだ」
「あなたがまた道を間違えそうになったら、その時は私が必ず連れ戻す。だから……卒業するまでの間、あなたの力を私に貸して。私も全力で力を貸すことを約束するわ。そして、最後まであなたの事を仲間として信じ続ける!」
「……堀北」
私は一歩前に出て、須藤君に片手を差し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ