体育祭当日C 〜エースを取り戻せ!〜
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があるから。体育祭でクラスの足を引っ張ってしまったという事実。それが私から自信を奪っているのだろうか。
私が口籠っていると、沢田君が会話に加わってきた。
「……生徒会長。俺からも言わせてください」
「沢田、なんだ? 言ってみろ」
兄さんに許可を取り、沢田君は回れ右をして佇んでいる兄さんと向き合った。
「赤組が負けているのは、きっと1年の影響が大きいです。それは本当にすみません。ですが、午後の種目で取り返しますので、必ず赤組を優勝にしてみせます」
「……沢田。前にも言ったが、俺は根拠のない理想は信じない。そう言い切るなら明確な根拠を示せ」
「そうですね……俺が死ぬ気で推薦競技の全種目で1位を取るからです」
「全競技……だと?」
「そうです、全競技です」
「……フッ」
その時兄さんは、滅多に見れない嬉しそうな顔になっていた。
「そうか。ではお前は、1,200mリレーでも1位を取ると。そう言う事だな?」
「はい」
『……』
兄さんと沢田君は睨み合うが、その目には敵意は無い。楽しそうな事にわくわくしている少年のような目だ。
(兄さんがこんな顔をするなんて……沢田君、あなたって本当にすごいわね)
「……」
橘書記も兄さんの顔を見て驚いているようだ。きっと彼女も初めて見たのだろう。
「沢田、お前は何番目だ?」
「アンカーです」
「フッ、なら俺と勝負する事になるな」
「ええ。望むところですよ」
「俺もだ」
そう言うと、兄さんは再び廊下を進み始めた。
「あっ、会長!」
橘書記が慌てて追いかける。そして彼女が追いつくと、なぜかまた歩くのを止めてしまった。
(……兄さん?)
そして兄さんは、背中を向けたまま沢田君に話かけた。
「沢田、放課後に生徒会室に来い」
「え? 生徒会室にですか?」
「そうだ。夏休みに借りを作っただろう? その借りを返してもらう方法が決まったのでな」
「はぁ、わかりました」
(……? 借りを返す? 何か2人の間にあったのかしら)
言いたいことは言い終えたのか、兄さん達は再び廊下を進み始めた。
「……堀北さん、行こうか」
「ええ」
それから、残された私達もバスケ部用体育館へと歩き始めたのだった。
?? バスケ部用体育館 ??
タンタンタン……
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