体育祭当日C 〜エースを取り戻せ!〜
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……
?? 堀北鈴音side ??
沢田君に背負われて、廊下を進む。
須藤君を説得するなんて、私に出来るのかは分からないけど。
沢田君が私になら出来ると思ってくれてるなら、その期待にはパートナーとして答えたい。
そんな事を考えながら廊下の先を見ていると、少し先から2人の男女が歩いて来ているのが見えた。
(! に、兄さん)
その人物は兄さんと橘書記だった。沢田君は廊下の隅に寄り、すれ違い様にお辞儀をしていた。
でも私は、兄さん達の顔をまともに見る事もできなかった。
そしてすれ違ってから数歩歩くと、兄さんの足音が急に止まった。
止まったまま振り返る事もなく、兄さんは口を開く。
「鈴音。今回の体育祭において、Dクラスがどんな状況にあるか理解しているのか?」
驚いた。まさか、兄さんが私を名指しで質問して来るなんて。
「……ちょうど今、痛感しているところです」
完全に龍園君の狙い通りの状況になってしまっている。きっと、元々私達からポイントを搾り取り、土下座までさせる気だったのだろう。
彼の取った方法はおそらく、参加表の漏洩。おそらく櫛田さんから参加表のコピーでも渡されたはずだ。参加表を先生に提出したのは櫛田さんだし、その可能性が高い。
沢田君もその事には気づいていたはず。なのにどうして対策しなかったのか? そこには何かしらの彼なりの理由があるのだろう。別にそこを追求するつもりはない。
私だってただ漫然と日々を過ごしていたから。
だから、この状況は私達が招いたものだ。その責任を取るためにも、沢田君は午後の競技で1位を取りたいのだろう。
「……安心して下さい。兄さんや先輩方にご迷惑はおかけしません」
「ほう。何か策でもあるのか?」
私の言葉に、兄さんは振り返って鋭い目線をぶつけてきた。
「……あります」
これは強がりじゃない。赤組やDクラスが勝つのに必要な2つのピース、その1つを私は任されたのだから。
「……そうか。なら、その策が上手く行く確証もあるのだろうな?」
「そ、それは……」
確証なんてない。沢田君がもう1つのピースを集めたとしても、私が最後のピースを集められる根拠も保証もない。
あるのは、沢田君に言われた「君にしかできない」という言葉だけ。
それを確証にできないのは、きっと私の中に迷い
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